米国Chicago大学のSushmita Pamidi氏

 閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)を治療すると、睡眠時の無呼吸や低呼吸が改善するだけでなく、血糖値も低下することが報告されている。今回新たに、就寝中に持続陽圧呼吸(CPAP)療法を行うことでインスリン抵抗性が軽減され、血糖コントロールが改善する可能性が無作為化比較試験の結果、明らかになった。2013年5月17日から22日に米国フィラデルフィアで開催された米国胸部学会(ATS2013)で、米国Chicago大学のSushmita Pamidi氏らが報告した。

 これまでにもCPAP療法で糖代謝の改善が認められたとする報告は複数あるが、CPAPの平均施行時間は3.3〜6.2時間と短時間だった。今回の検討ではCPAP施行時間を全就寝中(就寝から覚醒まで)とし、OSA患者の糖代謝に与える影響について検討した。

 対象は、無呼吸低呼吸指数(AHI:Apnea Hypopnea Index)が5以上のOSA患者で、45歳以上、BMI 25 kg/m2以上の過体重または肥満があり、経口グルコース負荷試験によるスクリーニング後に糖尿病前症と診断された39例とした。

 2対1の割合でCPAP群(26例)とプラセボ群(13例)の2群に無作為に割り付けた。CPAP群では就寝中にCPAPを装着した治療を2週間行い、プラセボ群では偽薬を2週間投与した。

 CPAP群およびプラセボ群の年齢(53.8歳 対 55.2歳)、BMI(36.8kg/m2 対 32.7kg/m2)、男性比率(16例 対 10例)、AHI(45.2 対 40.4)、空腹時血糖値(103.9mg/dL 対101.6mg/dL)のいずれの項目にも有意差はなかった。

 終了時点における空腹時血糖値のベースラインからの変化量は、CPAP群では4.8mg/dL低下、プラセボ群では0.3mg/dL上昇、両群の差は−5.03mg/dL(95%信頼区間[CI]−10.7〜0.6、P=0.08)で、CPAP群で低い傾向が認められた。

 食後2時間血糖値の変化量は、CPAP群が8.3mg/dL低下、プラセボ群が9.8mg/dL上昇で、両群の差は−18.1mg/dL(95%CI −32.5〜−3.8、P=0.02)と、CPAP群で有意に低かった。

 さらに血糖-時間曲線下面積のベースラインからの変化量は、CPAP群が−741.2mg・mL-1・min、プラセボ群が485.5mg・mL-1・minで、両群の差は−1226.7(95%CI −2399.4〜−54.0、P=0.04)と、CPAP群で有意に低かった。

 一方、インスリン-時間曲線下面積はCPAP群が−1351.2μU・mL-1・min、プラセボ群が−458.7μU・mL-1・min、両群の差は−892.5(95%CI −3239.7〜1454.6、P=0.40)で、群間に有意差はなかった。

 以上の検討からPamidi氏は、「CPAP治療は糖尿病前症患者のインスリン分泌量を変えずに血糖値を低下させた」と述べ、「CPAP治療はOSA患者のインスリン感受性を高め、糖代謝を改善する可能性がある」と結論した。