英国University Hospital AintreeのPeter Calverley氏

 COPD患者を対象に薬物の治療効果を評価する臨床試験では、一般に観察期間を6〜12カ月間に設定することが多い。しかし、重症・最重症例においては、プラセボ群からの早期脱落などの影響により、時間が経つにつれて治療効果を正確に評価できなくなることが、3件の臨床試験の事後解析結果から示唆された。英国University Hospital AintreeのPeter Calverley氏らが、5月17日から22日に米国フィラデルフィアで開催された米国胸部学会(ATS2013)で発表した。

 COPD治療薬の臨床試験では、観察期間が長くなるほど、重症例のプラセボ群で脱落が増え、残った比較的健康な症例との比較となり、実薬群の治療効果が過小評価される恐れが指摘されている。そこで、既報の3つの臨床試験データを事後解析し、COPD患者の初回増悪試験からの脱落を重症度別に検討した。

 今回の検討対象は、中等症から最重症のCOPDで、無作為割付前の12カ月間に1回以上の増悪があり、タービュヘイラーを用いて1日にブデソニド320μg/ホルモテロール9μg(BUD/FORM群、1172例)あるいはホルモテロール9μg(FORM群、1171例)を服薬していた2343例。

 患者背景は、年齢がBUD/FORM群63.4歳、FORM群63.0歳、男性比率はそれぞれ64%、63%、気管支拡張薬投与前の1秒量(FEV1)は1.02L、1.00L、発作治療薬の使用回数は4.4回/日、4.6回/日。重症度分類は、中等症が17.3%、重症が56.6%、最重症が26.1%だった。

 BUD/FORM群のFORM群に対する初回増悪(経口ステロイド薬の使用、COPDによる入院)までの期間のハザード比を求めると、1カ月後が0.53(95%信頼区間:0.39-0.72、P<0.0001)、2カ月後が0.53(同:0.42-0.67、P<0.0001)、3カ月後が0.59(同:0.48-0.72、P<0.0001)、6カ月後が0.69(同:0.59-0.80、P<0.0001)、12カ月後が0.80(0.70-0.92、P=0.0015)と、すべての評価時点において、初回増悪までの期間はBUD/FORM群で有意に長かったが、時間経過とともにその差が縮小していた。

 同様に、試験脱落までの時間のハザード比を算出すると、1カ月後は有意差が認められなかったが、2カ月後以降はBUD/FORM群で脱落までの時間は有意に長かった。

 さらに、増悪と脱落の複合エンドポイントである「EXDO」(増悪あるいは脱落のいずれか。初回増悪後の脱落は含まない)のハザード比を見ると、1カ月後が0.57(同:0.43-0.76、P<0.0001)、2カ月後が0.57(同:0.47-0.70、P<0.0001)、3カ月後が0.59(同:0.50-0.70、P<0.0001)、6カ月後が0.70(同:0.62-0.80、P<0.0001)、12カ月後が0.80(同:0.71-0.89、P<0.0001)と、常にBUD/FORM群で有意に低く、試験の早期では両群の差が大きかった。

 初回増悪率の両群の差を重症度別に見ると、中等症では12カ月間にわたり40〜50%の差がほぼ維持されていた。一方、重症と最重症では開始当初は中等症と同程度の差があったものの、その後は群間差が経時的に小さくなっていった。

 一連の検討結果からCalverley氏は、「COPDの重症度が増すと、時間が経つにつれ治療効果の群間差が縮小するように思われる。これによって、重症・最重症のCOPD患者を含む臨床試験の統計学的な検出力が時間とともに失われていくのかもしれない」と述べ、「重症・最重症のCOPD患者に対する治療効果を検討する際には、試験期間は短く設定し、増悪と脱落の複合エンドポイントであるEXDOを評価指標として用いるとよいのではないか」との見解を示した。