東京女子医科大学の武山廉氏

 吸入ステロイド薬(ICS)と長時間作用型β2刺激薬(LABA)の配合剤であるブデソニド/ホルモテロール配合剤を、喘息患者の長期管理薬としてだけでなく発作治療薬としても用いるSMART療法は、コントロール不良の喘息患者に対して有効であるとの報告が増えつつある。喘息管理の国際ガイドラインGINA(Global Initiative for Asthma)最新版でも支持されている同療法は、2012年から日本でも保険診療で実施できるようになった。東京女子医科大学の武山廉氏らは中等症および重症の日本人喘息例においてSMART療法の有用性が示されたことを、5月17日から22日まで米国フィラデルフィアで開催されている米国胸部学会(ATS2013)で報告した。

 対象は、ICS/LABA配合剤を長期管理薬として使用していた中等症から重症の喘息患者で、試験開始前12カ月間に少なくとも1回喘息の増悪が認められた63例。これらの患者を、長期管理薬と発作治療薬に同じICS/LABA配合剤を用いるSMART群(32例)と、長期管理薬としてICS/LABA配合剤、発作治療薬として短時間作用型β2刺激薬(SABA)を用いる従来型最適標準治療群(CBST群、31例)に無作為に割り付けた。

 長期管理薬としては、両群ともブデソニド640μg/ホルモテロール18μg(1日量)であり、発作治療薬としては、SMART群がブデソニド160μg/ホルモテロール4.5μgを、CBST群がサルブタモールをそれぞれ必要に応じて服薬した。

 患者背景は両群間に有意な差はなかった。年齢はSMART群が41歳、CBST群が39歳、1秒量(FEV1)はそれぞれ1.86L、1.89L、%1秒量(%FEV1)は68.3%、70.4%、朝のピークフロー(PEF)は369L/分、380L/分、夜のPEFは420L/分、433L/分、SABAの使用頻度は11.2回/週、10.6回/週、喘息コントロールテスト(ACT)スコアは15.3、14.6だった。

 1年間追跡したところ、初回増悪までの期間については、SMART群はCBST群に比べ有意に長く、ハザード比は0.34(95%信頼区間:0.11-0.92、P=0.0334)だった。また、SMART群とCBST群における累積の急性増悪率は、軽症がそれぞれ15.6%、29.0%、重症がそれぞれ0%、9.7%と、いずれもSMART群で有意に少なかった(ともにP<0.05)。

 朝と夜のPEFに関しても、SMART群はCBST群に比べて改善幅が大きく、朝のPEFは24週以降になるとSMART群で有意に改善されていた(P<0.05)。また、4週後、12週後、24週後、48週後におけるFEV1の変化量を見ると、24週後と48週後はSMART群で有意に大きく(ともにP<0.05)、呼吸機能がより改善していた。

 発作治療薬の使用頻度は両群とも減少傾向にあったが、SMART群でより減っていた。ACTスコアについては、24週以降、SMART群ではCBST群に比べて有意に改善し(P<0.05)、最終的にはSMART群が22、CBST群が17にまで高まっていた。

 誘発喀痰中の炎症マーカーを試験開始時、8週後、24週後、48週後に測定したところ、好酸球は8週後以降、SMART群でCBST群より有意に減っていた(8週後はP<0.05、24週後以降はいずれもP<0.01)。ECP(eosinophil cationic protein)も8週後以降、同様に有意な減少が認められた(いずれもP<0.01)。また、マスト細胞B12トリプターゼは48週後になると、いずれもSMART群で有意に低値になっていた(ともにP<0.05)。

 以上から武山氏は、「SMART療法は従来治療に比べ増悪を減らし、呼吸機能や誘発喀痰中の炎症マーカーを改善した。同療法は中等症から重症の喘息患者の長期管理薬として有用と考えられる」と述べ、今後、ACTスコアをより高めるような治療法も検討したいとの抱負を語った。