ブラジルFederal University of Pernambuco のLuciana Alcoforado Mendes da Silva氏

 喘息患者に吸入療法を実施する場合、非侵襲的陽圧換気(NPPV)の人工呼吸器とメッシュ式ネブライザーの組み合わせは、NPPVとジェット式ネブライザーの組み合わせに比べ、気道への薬剤流入量や肺への薬剤付着率が高いことが確かめられた。中等度から重症の安定期喘息患者を対象とした肺換気シンチグラフィによる臨床試験で明らかになったもので、5月17日から22日まで米国フィラデルフィアで開催中の米国胸部学会(ATS2013)で、ブラジルFederal University of Pernambuco のLuciana Alcoforado Mendes da Silva氏らが報告した。

 同氏らは、2種類のネブライザーを非侵襲的陽圧換気(NPPV)の人工呼吸器と組み合わせて吸入療法を行う際、薬剤微粒子がどの程度肺に移行・付着するかを、放射性トレーサーとガンマカメラを用いた肺換気シンチグラフィで比較する無作為化クロスオーバー比較試験を実施した。なお、ジェット式ネブライザーはコンプレッサーで作った圧縮空気で薬液を噴霧する方式、メッシュ式は超音波の振動により薬液を微細な孔(メッシュ)から噴霧する方式である。

 対象患者は10例で全例が女性、年齢は33.50±13.46歳、1秒量(FEV1)は69.01±13.16L、ピークフロー(PEF)は71.02±18.21Lだった。登録条件は、18〜60歳で喘息と診断されてから1年以上経過し、直近6カ月間に増悪が認められず、過去に喫煙歴がない中等症から重症の喘息患者とした。呼吸困難、心肺疾患(COPD、肺炎、心不全、心筋梗塞、気肺)などを有する患者は除外した。

 試験では、放射性トレーサーであるジエチレントリアミン5酢酸テクネチウム(DTPA-Tc99m)を、メッシュ式ネブライザー+NPPV、またはジェット式ネブライザー+NPPVで吸入する群に患者を無作為に割り付け、順次、2種類の方式で吸入を行った。

 全例でマスクを介したNPPVを実施した。吸気陽圧(IPAP)は12cmH2O、呼気陽圧(EPAP)は5 cmH2Oに設定した。肺内、および他臓器に移行したDTPA-Tc99mはガンマカメラによって定量した。

 試験の結果、DTPA-Tc99mの肺付着率は、メッシュ式では5.77%だったのに対し、ジェット式1.71%と、前者で有意に高かった(P=0.005)。また、メッシュ式ではジェット式に比べて両肺中央部と末梢部への移行率が高かった。

 肺内、上気道内、胃内への吸入総量も、メッシュ式では薬剤の22.75%だったのに対し、ジェット式では同7.27%と、前者で有意に多かった(P=0.005)。逆に、吸入システム内のDTPA-Tc99m残存率はメッシュ式では3.78%、ジェット式では41%と、メッシュ式で有意に低かった(P=0.005)。

 これらの結果から、症状が安定している喘息患者に対して吸入療法を実施する場合、NPPVとメッシュ式ネブライザーを組み合わせた方が、NPPVとジェット式ネブライザーの組み合わせよりも吸入薬剤の肺付着率が高く、肺中央部や末梢部への分布も改善されることが示された。

 Mendes da Silva氏は最後に、「非侵襲的換気の人工呼吸器とメッシュ式ネブライザーを組み合わせた吸入療法による肺付着率、および肺分布の改善が、臨床的にどのような意義があるのかを今後検討する必要がある」と今後の課題を指摘した。