米国Columbia大学のElizabeth A. Townsend氏

 ショウガに含まれる天然成分の6-ジンゲロール、8-ジンゲロール、6-ショウガオールは、いずれもβ受容体刺激薬の気道平滑筋弛緩作用を高め、既存の喘息治療薬と併用することで喘息症状の改善効果が増強される可能性が細胞レベルの研究により示された。5月17日から22日まで米国フィラデルフィアで開催されている米国胸部学会(ATS2013)で、米国Columbia大学のElizabeth A. Townsend氏らが報告した。

 同氏らはまず、アセチルコリン添加によって収縮が誘導されたヒトまたはモルモット気道平滑筋(ASM)細胞が、イソプロテレノール(β受容体刺激薬)、6-ジンゲロール、8-ジンゲロール、6-ショウガオールによって弛緩するか否かを検討した。

 その結果、アセチルコリンによる気道平滑筋の収縮は、イソプロテレノール(100pM〜10μM)の添加により、用量依存性に抑制された。また、イソプロテレノールと6-ジンゲロール、8-ジンゲロール、6-ショウガオールを同時添加したところ、気道平滑筋の弛緩効果が高まった。なかでも、6-ショウガオールの同時添加時に、イソプロテレノールの半数効果濃度(EC 50)の低下が最も大きかった。

 次に、精製ホスホジエステラーゼ(PDE)4D を3種類の各ショウガ成分と常温でインキュベートした後、PDE活性を測定した。

 その結果、8-ジンゲロール、6-ジンゲロール、6-ショウガオールは、対照としたビークルのジメチルスルホキシド(DMSO)に対し、それぞれ14%、18%、24%、有意に強くPDEを阻害した(いずれもP<0.01)、6-ショウガオールのPDE阻害率は8-ジンゲロールに比べて有意に高かった(P<0.05)。

 また、ヒト気道平滑筋細胞では、アセチルコリン添加によりミオシン軽鎖のリン酸化(p-MLC20)が誘導されたが、8-ジンゲロールはこの誘導を有意に抑制し(P<0.05)、その抑制効果はRho結合キナーゼ阻害剤Y-27632と同程度だった。

 さらに、ヒト気道平滑筋細胞を6-ショウガオールで前処理すると、ブラジキニンによるRhoA活性化が有意に抑制された(P<0.001)。同じくヒト気道平滑筋細胞ではアセチルコリン添加により、アクチンフィラメントが増加したが、6-ショウガオールによりポリマーが解離した。

 また、ヒト気道平滑筋細胞に対するアセチルコリン添加により誘導されたCPI-17のリン酸化(p-CPI-17リン酸化)は、8-ジンゲロール、6-ジンゲロール、6-ショウガオールのいずれにおいても有意に抑制された(P<0.01)。

 精製ホスホリパーゼC(PLC)βと3種類の各ショウガ成分とをインキュベート後、PLCβアッセイを実施してPLCβ活性を測定したところ、8-ジンゲロールおよび6-ショウガオールのPLCβ活性はビークル添加時に比べて有意に低く(P<0.001)、その程度はPLC阻害剤U-73122と同程度であった。

 以上の結果からTownsend氏は、「ショウガ天然成分はPDE4およびPLCβの活性化を阻害することにより、β受容体刺激薬による気道平滑筋弛緩作用を増強する可能性があり、ショウガと従来の喘息治療薬との併用は、喘息症状の改善に有用性が高い可能性がある」と結論した。


〔訂正〕
5月23日に以下の訂正を行いました。
タイトルと本文第1、第2、第10段落に「β遮断薬(またはβ2遮断薬)」とあるのは誤りで正しくは「β受容体刺激薬」でした。上記のように訂正します。