スウェーデンUppsala UniversityのGunnar Johansson氏

 重症・最重症の慢性閉塞性肺疾患(COPD)では、吸入ステロイド薬と長時間作用型β2刺激薬の配合剤(ICS/LABA)と長時間作用型抗コリン薬(LAMA)を併用する機会は少なくない。しかし、この3剤併用療法による増悪リスク軽減を実証したエビデンスは乏しいため、スウェーデンの医療記録データベースを用いたPATHOS研究が行われた。チオトロピウムブデソニド/ホルモテロールを併用していた群で増悪や肺炎発症のリスクが低かったことを、スウェーデンUppsala UniversityのGunnar Johansson氏らが、5月17日から22日まで米国フィラデルフィアで開催されている米国胸部学会(ATS2013)において報告した。

 同研究では、1999〜2009年におけるスウェーデンのプライマリケア医における医療記録と、病院や薬剤、死亡の記録をリンクさせ、解析に用いた。今回は、LAMAのチオトロピウムとICS/LABAのブデソニド/ホルモテロールによる3剤併用療法(T+B/F群)と、チオトロピウムとフルチカゾン/サルメテロールによる3剤併用療法(T+F/S群)の転帰をレトロスペクティブに検討。COPD診断後、最初に3剤併用療法を実施した日を基準日とし、増悪については入院、救急搬送、COPD悪化による経口ステロイド薬あるいは抗菌薬の投与と定義し、主治医の診断に基づく肺炎はICD-10を用いて同定した。

 3剤併用療法を受けておりマッチング可能な症例は、T+B/F群が4343例、T+F/S群が1647例で、計5990例だった。ペアワイズの傾向スコア(propensity score)マッチングを基準日で行って各群1646例を抽出し、基準日から1万1901人・年追跡した。

 基準日前における患者背景を見ると、両群とも年齢は67.3歳、BMIは27.7であり、気管支拡張薬使用前の1秒量(FEV1)はT+B/F群が1.30L、T+F/S群が1.28L、増悪回数はそれぞれ2.17回/年、2.34回/年、肺炎罹患はそれぞれ0.120回/年、0.098回/年と、いずれも群間差は認められなかった。

 解析の結果、100人・年当たりの総増悪回数はT+B/F群が100回、T+F/S群が133回で、率比(rate ratio)は0.75(95%信頼区間:0.69-0.81、P<0.0001)と、T+B/F群の方が有意に低かった。

 増悪イベントの項目別に率比を見ると、増悪に関連した入院は0.71(同:0.62-0.81、P<0.0001)、救急搬送が0.78(同:0.66-0.91、P=0.0016)、経口ステロイド薬処方が0.78(同:0.71-0.87、P<0.0001)、抗菌薬処方が0.68(同:0.58-0.80、P<0.0001)と、いずれもT+B/F群で有意に低かった。

 また、肺炎に関しては、100人・年当たりの総罹患回数はT+B/F群が8.9回、T+F/S群が13.5回で、率比は0.66(同:0.58-0.75、P<0.0001)だった。肺炎イベントの項目別に率比を求めると、入院を要した肺炎は0.62(同:0.53-0.72、P<0.0001)、プライマリケア医の診断による肺炎は0.82(同:0.70-0.95、P=0.0084)と、いずれもT+B/F群の方が有意に低値だった。

 以上の検討からJohansson氏は、「スウェーデンのプライマリケア医の患者において、チオトロピウムとブデソニド/ホルモテロールによる 3剤併用療法はCOPD増悪リスクと肺炎発症リスクがより少ないことと関連していた」と結論した。