ブラジルUniversity of Sao PauloのEduardo M Rego氏

 急性前骨髄球性白血病(APL)において、ATRA全トランス型レチノイン酸)とアントラサイクリン治療によって、寛解率も生存率も有意に改善したことが明らかになった。発展途上国における治療成績の向上を目指す米国血液学会(ASH)の国際的コンソーシアムの活動で実現されたもの。12月5日から8日までニューオーリンズで開催される第51回米国血液学会(ASH 2009)で、ブラジルUniversity of Sao PauloのEduardo M Rego氏(写真)が発表した。

 APLに対する治療は、ビタミンA誘導体であるATRAとアントラサイクリン系薬剤を用いた併用療法が一般的に行われている。ATRAが導入される以前に比べて生存率は飛躍的に上昇し、日本の成人白血病治療共同研究グループ(JALSG)によるAPL97試験も含め、ATRAによる寛解率は73〜97%、2年無病生存率は69〜89%、2年生存率は69〜86%と報告されている。

 しかし、発展途上国では現在でもAPL罹患率と死亡率が高い状態が続いている。そこで、ASHでは医師と研究者の国際的なネットワークとしてInternational Consortium on Acute Promyelocytic Leukemia (IC-APL)を創立し、発展途上国の診断と治療の向上を目指している。

 IC-APLには、ブラジルから79人、メキシコから28人、ウルグアイから7人の計114人が登録された。患者の年齢中央値は35歳(9〜72歳)、男性が62%を占めた。APLの疑いのある患者には確定診断のために骨髄標本を採取し、ATRAの投与を開始した。

 治療はATRAとアントラサイクリン系薬剤のイダルビシン、mitoxantrone、サイトシンアラビノサイド(Ara-C)の併用療法(PETHEMA LPA 2005)を基本としたが、実際にはイダルビシンの代わりに、入手しやすかったアントラサイクリン系薬剤のダウノルビシンが使われた。

 この結果、完全寛解率は81%、7日以内の早期死亡率は7.6%、1カ月以内の死亡率は16%で、2年生存率は77%(95%信頼区間;69-85%)、2年無病生存率は95%(同;88-100%)だった。これらは、先進国で行われた試験とほぼ類似した結果となっている。

 またIC-APLが関与する前のブラジルの試験(132人)では2年生存率は52%と低く、特に出血による早期の死亡率が高かったが、IC-APLが関与してからは77%に改善した。

 IC-APLでは今後、他の国でも治療プログラムを実施し、アジアでは低コストの亜ヒ酸など、代替治療についても検討していく予定であるという。