米New York UniversityのOwen A. O'Connor氏

 紡錘体に局在し細胞分裂に必要なタンパク質であるキネシンスピンドルタンパク質KSP)の阻害剤SB-743921は、ホジキンリンパ腫において忍容性が認められ、抗腫瘍効果もあることが多施設共同フェーズ1/2試験で明らかになった。12月5日から8日までニューオーリンズで開催される第51回米国血液学会(ASH 2009)で、米New York UniversityのOwen A. O'Connor氏(写真)が発表した。

 SB-743921に関しては、最初の臨床試験で主な用量制限毒性(DLT)として好中球減少が認められ、最大耐用量(MTD)は21日置きの投与で4mg/m2と決定された。ただし、好中球減少は投与第14日までには回復していた。そのため、より高い用量強度(dose intensity)を検討するため、14日置きの投与スケジュールでフェーズ1/2試験が行われた。

 今回の発表では、フェーズ1/2試験のうち、DLTとMTDを決定するフェーズ1試験の結果が報告された。対象は、再発もしくは難治性のホジキンリンパ腫もしくは非ホジキンリンパ腫で、前治療として化学療法による治療を1レジメン以上受けた経験がある患者だった。

 SB-743921は1サイクルを28日とし、第1日目と第15日目に1時間かけて静注した。標準的な3+3の試験デザインで、2mg/m2から開始し、1mg/m2ずつ増量した。MTDまで増量を続け、好中球減少がDLTとして認められた場合には、G-CSFを投与し、次のMTDになるまでSB-743921の増量を継続した。

 DLTは、1サイクル目におけるグレード4の好中球減少が5日以上続いた場合、グレード3の発熱性好中球減少、もしくはグレード4の血小板減少が認められた場合とした。

 その結果、39人が6つの用量レベル (2〜7mg/m2)で治療され、治療サイクルの中央値は2サイクル(1〜13サイクル)だった。7mg/m2において7人にDLTが認められ、主なDLTは好中球減少であった。このことから、G-CSFを投与していない患者におけるMTDは、6mg/m2と決定された。

 また好中球減少の発現でG-CSFを投与した24人は、5つの用量レベル(6〜10mg/m2)で治療され、治療サイクルの中央値は2サイクル(1〜20サイクル)であった。9mg/m2で治療された7人のうち1人でDLT(好中球減少と発熱性好中球減少)が見られ、10mg/m2では6人中2人でDLT(グレード4の血小板減少)が見られた。このため、G-CSFを投与した場合のMTDは9mg/m2と決定された。

 主なグレード3/4の有害事象は好中球減少(38%)、血小板減少(19%)、白血球減少(14%)、貧血(8%)、呼吸困難(3%)、咳(2%)で、骨髄抑制以外の有害事象は少なかった。神経障害はなく、グレード1以上の脱毛もなかった。

 抗腫瘍効果については、SB-743921を6mg/m2以上投与し、評価可能だった30人のうち、4人に部分寛解(PR)が認められた。このうち3人はホジキンリンパ腫 (投与量は6mg/m2、8mg/m2、9mg/m2)、1人は非ホジキンリンパ腫の1つである辺縁リンパ腫(同9mg/m2)だった。ホジキンリンパ腫の中でみると、24人中3人にPRが見られたことになり、寛解率は13%であった。

 以上のことから、用量強度は、21日置きの投与スケジュールでは4mg/m2(0.19mg/m2/d)だったが、今回の14日置きのスケジュールでは6mg/m2 (0.43mg/m2/d)と、用量強度はおよそ2倍となった。また抗腫瘍効果に関し、「ホジキンリンパ腫では6mg/m2以上の投与量で効果が見られたが、非ホジキンリンパ腫については現時点では評価できない」とO'Connor氏は話した。