名古屋第二赤十字病院血液・腫瘍内科部長の小椋美知則氏

 日本人の再発または難治性の非ホジキンリンパ腫を対象にした、mTOR阻害剤であるエベロリムスのフェーズ1臨床試験の結果が明らかとなった。患者は、投与に一般的に十分耐えることができ、一部の患者では抗腫瘍効果が認められた。結果は12月5日から8日までニューオーリンズで開催される第51回米国血液学会ASH 2009)で、名古屋第二赤十字病院血液・腫瘍内科部長の小椋美知則氏(写真)によって発表された。

 mTORは、PI3K/Akt情報伝達経路の下流に存在する。悪性の非ホジキンリンパ腫の1種であるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)ではAktの構成的な活性が確認され、生存期間不良と関連することが示されている。また、濾胞性リンパ腫(FL)の細胞や未分化大細胞型リンパ腫(anaplastic large-cell lymphoma)の細胞の一部でmTOR経路の活性化が亢進していることが確認されている。

 フェーズ1試験は、1日当たり5mgもしくは10mgのエベロリムスを28日を1サイクルとして、病状が進行するかあるいは許容範囲を超える毒性が確認されるなどし試験が中止されるまで投与された。5mg群には7人(男性4人)が登録され、年齢中央値は65歳(47-82)だった。前治療として6人が化学療法を受け、4人がリツキシマブの投与を受けていた。10mg群には6人(男性4人)が登録され、年齢中央値は59歳(47-74)だった。前治療として全員が化学療法を受け、5人がリツキシマブを投与されていた。

 抗腫瘍効果は5mg投与群では、DLBCL患者1人で14カ月以上の完全奏効(CR)、DLBCL患者1人で12カ月以上の部分奏効(PR)が得られ、FL患者1人が安定状態(SD)となった。奏効率は28.6%だった。残りの4人は病状進行したが、そのうち3人はT細胞性非ホジキンリンパ腫だった。

 10mg投与群では、FL患者1人で11カ月以上の完全奏効(CR)、FL患者1人で1.5カ月の部分奏効(PR)が得られ、FL患者2人とマントル細胞リンパ腫患者1人、ALCL患者1人が安定状態(SD)となった。奏効率は33.3%だった。

 フェーズ1試験の結果、すべての患者でエベロリムスに関連した副作用が確認された。全ての副作用は一過性で可逆的だった。間質性肺疾患(グレード1)が1人の患者で見られたが、追加治療なくエベロリムスの中断で回復した。重篤な副作用はまれで、ほとんどのものがグレード3だった。多く見られた副作用は貧血、白血球減少症、血小板減少症、口内炎、AST上昇、ALT上昇だった。

 グレード3/4の副作用はリンパ球減少が多かった。5mg投与群では、グレード3のリンパ球減少を起こしたのが1人、グレード4のリンパ球減少を起こしたのが1人だった。10mg投与群では、グレード3のリンパ球減少を起こしたのが2人でグレード4の患者はいなかった。

 小椋氏は「難治性の非ホジキンリンパ腫に対して単剤で3割そこそこの効果があり、CRも得られたのは評価できる」と語った。現在、ハイリスクの初発DLBCLのR-CHOP導入療法後の維持療法として毎日エベロリムス10mgを投与する国際的なフェーズ3試験が行われており、日本も参加しているという。