London大学のJonathan Ledermann氏

 トリプルキナーゼ阻害薬BIBF1120は、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)の3つを同時に阻害する血管新生阻害薬再発性の進行卵巣癌患者を対象に、化学療法終了後にBIBF1120を9カ月間投与する無作為化フェーズ2試験を行った英London大学のJonathan Ledermann氏(写真)らは、予備的な結果ではあるものの、主要評価項目に設定された36週時の無増悪生存率はプラセボ群に比べBIBF1120群で好ましいことを示唆するデータを得た。成果は、5月29日から6月2日までオーランドで開催されている第45回米国臨床腫瘍学会ASCO2009)で発表された。

 先に行われた142人の患者を対象とするフェーズI試験は、BIBF1120の忍容性が高いことを示した。維持療法への適用においては、忍容性が重要であった。

 Ledermann氏らは今回、再発性の進行した卵巣癌、卵管癌、原発性腹膜癌で、少なくとも第2選択以降の治療に反応(CA125値がベースラインから50%以上低下またはRECIST基準に基づくPRまたはCRを達成)した女性を登録した。

 第1選択、第2選択、第3選択治療のいずれかが終了した後で、無治療期間が12カ月未満のうちにそれぞれ第2選択、第3選択、第4選択治療を受けており、直近の化学療法が終了してから4週から8週の時点の患者を選んだ。

 84人(平均年齢60歳)の患者を無作為にBIBF1120(250mgを1日2回経口投与、44人、年齢の中央値は60歳)、またはプラセボ40人(同63歳)に割り付け、最長9カ月間治療を継続。追跡は36週まで、または、進行が見られるまでとした。

 主要評価項目は36週の時点の無増悪生存率に設定、CT検査を12週間隔で行って確認した。

 両群ともに、第3選択以降の治療を受けた患者が半数を超えていた。直前の化学療法に対する反応は、BIBF 1120群の88%、プラセボ群の90%がPRだった。

 いずれの群でも、直近の化学療法前の無治療期間は6カ月未満が4割、6-12カ月が6割だった。

 BIBF1120投与期間の中央値は116日、プラセボ投与期間の中央値は101日。BIBF1120群の患者5人が9カ月の治療を完了したが、プラセボ群では治療完了は0人だった。治療中止の主な理由は病気の進行で、BIBF群の63%、プラセボ群の75%が進行を理由に試験薬の使用を中止していた。有害事象による中止は、それぞれ19%と17%だった。

 36週時の無増悪生存率はBIBF1120群が14.3%(95%信頼区間3.7-24.9)、プラセボ群が5.0%(0.0-11.8)だった。

 この試験は、過去に行われた同様の研究の結果を基に無増悪生存率が50-70%になると予想して設計された。実際の結果は予想を下回り、直接比較が可能な統計学的パワーは持たなかったが、無増悪生存のハザード比を推定したところ0.68(0.44-1.07、ログランク検定のp=0.09)となった。

 治療期間中に死亡はなかったほか、BIBF1120の毒性は低く、グレード3とグレード4の有害事象はBIBF1120群の54人(7%)、プラセボ群の25人(3%)に見られたにとどまった。

 予想された消化器毒性はBIBF1120群でわずかに高く、16%の患者に見られた。一方のプラセボ群では10%だった。グレード4の消化器毒性は認められなかった。

 肝酵素値上昇はBIBF1120群の43%、プラセボ群の6.3%に見られた。

 9カ月を過ぎても無進行状態を維持していたBIBF1120群の5人のうち、希望した4人については延長試験を行っている。

 不均質性の高い患者グループを対象とした無作為化試験の結果は、BIBF1120を用いた維持療法が、再発後に化学療法に反応した卵巣癌の進行を遅らせる可能性を示唆した。この薬剤の有効性を確認するためには、大規模フェーズ3試験が必要だと演者らは述べている。