イタリアSan Camillo Forlanini HospitalのC. N. Sternberg氏

 未治療もしくはサイトカイン治療歴のある進行腎細胞癌患者において、経口マルチキナーゼ阻害剤パゾパニブは、プラセボに比べて、無増悪生存期間を延長させ、QOLへの影響も少ないことがフェーズ3試験で明らかになった。5月29日から6月2日にオーランドで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO2009)で、イタリアSan Camillo Forlanini HospitalC. N. Sternberg氏(写真)らが発表した。

 パゾパニブは、VEGF-R1、VEGF-R2、VEGF-R3、PDGFR-α/β、c-kitのチロシンキナーゼに対するマルチキナーゼ阻害剤で、血管新生阻害作用を持つ。

 フェーズ3試験は、無作為化二重盲検試験として22カ国80カ所で実施された。未治療もしくはサイトカイン治療不応の局所進行もしくは転移性の腎細胞癌で、組織型は淡明細胞癌の患者435人を対象とした。パゾパニブ(800mg)を投与する群とプラセボを投与する群に、患者を2対1の割合で無作為に割り付け、プラセボ群で病勢が進行した場合はパゾパニブを投与した。

 主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)はパゾパニブ群で9.2カ月、プラセボ群で4.2カ月、ハザード比は0.46(95%信頼区間0.34-0.62、p<0.0000001)と、有意にパゾパニブによってPFSは延長した。また未治療の患者では、それぞれ11.1カ月、2.8カ月と、その違いは大きく、サイトカイン治療歴のある患者では7.4カ月、4.2カ月だった。

 MSKCCリスク(favorable、intermediate)や性別、年齢(65歳未満、65歳以上)、ECOG PS(0、1)によるサブ解析でも、PFSはパゾパニブ群の方が良好な結果であった。

 パゾパニブ群の奏効率は30%で、未治療の患者では32%、サイトカイン治療歴のある患者では29%だった。奏効期間は59週であった。

 生存期間は中間解析の段階で、中央値はパゾパニブ群が21.1カ月、プラセボ群が18.7カ月で、ハザード比は0.73(95%信頼区間0.47-1.12、p=0.02:片側検定)となった。ただし、プラセボ群の48%は、病勢進行後にパゾパニブを投与していた。

 有害事象の多くがグレード1/2であり、パゾパニブ群の主なグレード3/4の有害事象は、下痢が4%、高血圧が4%、毛髪の変化が1%未満、吐き気が1%未満、食欲不振が2%、嘔吐が2%だった。血液学的にはグレード3/4のALT上昇が12%に見られた。

 また健康関連QOL についてもEORTC-QLQ-C30、EQ-5D index、EQ-5D VASの3つの調査票を用いて評価したところ、治療期間のどの時期でも両群で違いは認められなかった。

 これらの結果から、パゾパニブの単剤投与は忍容性に優れ、未治療またはサイトカイン治療歴のある腎細胞癌患者においてPFSおよび奏効率を有意に改善させるとSternberg氏は考察した。