ベルギーUniversity Hospital GasthuisbergのE.Van Cutsem氏

 胃癌領域でも分子標的薬の実用化が目前となってきた。HER2陽性進行胃癌患者に標準的な化学療法に加えて抗HER2陽性抗体トラスツズマブをファーストラインとして投与すると、標準的な化学療法群のみの群に比べて有意に生存期間が延長できることが明らかとなった。国際的なフェーズ3試験のToGA試験で、アジア、オーストラリア、欧州、ラテンアメリカ、南アフリカの24カ国142施設で行われ、アジア人が約半数を占めた試験で証明されたもの。胃癌患者では20%程度の患者がHER2陽性患者と考えられている。成果は、5月29日から6月2日にオーランドで開催された米国臨床腫瘍学会ASCO2009)でベルギーUniversity Hospital GasthuisbergE.Van Cutsem氏(写真)によって発表された。

 ToGA試験は3807人の患者からHER2陽性の810人を選び出し、さらにその中から進行胃癌患者584人を2群に分けて行われた。標準療法のみ群(290人)は、5FUまたはカペシタビンにシスプラチンを投与された。標準療法に加えてトラスツズマブを投与された群は294人で構成された。

 カペシタビンは、1日2回1000mg/m2を3週間置きに1日目から14日目まで投与することを6回繰り返した。5FUは、3週間置きに1日当たり800mg/m2を1日目から5日目まで持続静注することを6回繰り返した。シスプラチンは3週間置きに80mg/m2を6回投与した。トラスツズマブは最初の1回は8mg/kgを投与し、その後は増悪するまで3週間置きに6mg/mgを投与し続けた。主要評価項目は全生存期間(OS)で、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、増悪までの時間(TTP)、臨床利益率、安全性などだった。

 試験の結果、全生存期間中央値は標準療法のみ群が11.1カ月だったのに対して、トラスツズマブを加えた群は13.8カ月で、ハザード比0.74(95%信頼区間0.60-0.91、p=0.0046)で統計学的に有意に延長していた。副次評価項目であった無増悪生存期間中央値は、標準療法のみ群が5.5カ月だったのに対して、トラスツズマブを加えた群は6.7カ月で、ハザード比0.71(95%信頼区間0.59-0.85、p=0.0002)で統計学的に有意に延長していた。

 抗腫瘍効果は完全奏効(CR)が標準療法のみ群で2.4%、トラスツズマブを加えた群で5.4%、部分奏効(PR)が標準療法のみ群で32.1%、トラスツズマブを加えた群で41.8%で、奏効率は標準療法のみ群が34.5%、一方のトラスツズマブを加えた群は47.3%となった。

 毒性については、血液学的、非血液学的毒性は、全グレード、グレード3/4の副作用とも両群で差はなかった。循環器系の副作用の頻度にも差がなかった。