骨病変BM)を伴う癌患者では、ゾレドロン酸ZOL)の定期的な投与により骨関連事象SRE)発生のリスクが低下し、最もベネフィットが得られるのは18カ月以上投与した場合であることが分かった。5月29日から6月2日に米国オーランドで開催されている第45回米国臨床腫瘍学会ASCO2009)のPoster Displayで、米i3 Innovus社のS. Thayer氏が発表した。

 骨転移による骨折などのSREは、固形腫瘍や多発性骨髄腫(MM)に多く発生し、ひいては他の疾患の罹病率や死亡率を上昇させる。点滴静注用のビスホスホネート製剤(BP)ZOLは、このようなSREの発生率を減らし、骨の最初の合併症発生を遅らせることが臨床試験で証明されている。

 Thayer氏らは、乳癌や前立腺癌などの固形腫瘍やMMの患者を対象に、骨折リスクや死亡率の減少に対するZOLの長期使用のベネフィットを評価した。2000年7月〜2007年12月の患者の登録情報(医療データ、薬剤データ)を基にレトロスペクティブなclaims-based studyを実施、観察期間中にZOLで治療した群と治療していない群のコホートを観察した。
 
 転帰は、骨折や脊髄圧迫の発生率、あるいは死亡率とし、それぞれ手術や処置などの医療行為を分類するICD-9-CM診断コードなどで同定した。患者特性としては、治療継続期間を「ZOLの投与中45日を超える中断がないこと」と定義し、治療日数のカテゴリーを設定した。指標とする期間前の骨合併症のエビデンスの有無やBPの使用の有無なども検討した。

 結局、対象は肺癌と乳癌が大部分を占める2万8385人となり、乳癌では30.1%、肺癌では16.4%、前立腺癌では26.3%、MMでは43.5%がZOLを使用していた。特に乳癌とMMでZOL使用率は高く、一方、腎細胞癌(RCC)と膀胱癌ではそれぞれ13.6%と10.9%と低かった。RCCと前立腺癌では診断からZOLによる治療開始までの期間が平均して長い傾向にあった。

 ZOLで治療した患者では、骨折は1箇所以上の発生率が10.56/100人年、脊髄圧迫は1箇所以上の発生率は1.60/100人年だった。死亡率は、9.51/100人年。一方の治療していない患者では、骨折の発生率は同13.93/100人年、脊髄圧迫の発生率は同2.94/100人年、死亡率は21.80/100人年となっていた。したがって、ZOLで治療した群の治療していない群に対する発生率比は、骨折が0.78、脊髄圧迫が0.55、死亡は0.44となった。

 つまり、ZOLで治療した患者では、骨折で22%、脊髄圧迫で45%のリスク低減効果を認め、また、死亡では66%のリスク低減効果を認めた。

 他の因子を調節後、6カ月を超える長期間ZOLで治療した患者は、治療していない患者に比べて骨折のリスクが低下し、1カ月以上ZOLで治療した患者は死亡リスクが低下した。最も死亡リスクが低下したのは、定期的に18カ月以上ZOLで治療した患者であった。最大のベネフィットが得られるのは、このような投与を受けた患者と考えられた。