Baylor Sammons Cancer CenterのJoyce O'Shaughnessy氏

 ポリADPリボースポリメラーゼPARP)阻害剤BSI-201と、ゲムシタビン+カルボプラチン化学療法の併用は、転移性トリプルネガティブ乳癌患者の生存期間を延長させ、臨床的有用率、奏効率、無病生存期間も有意に改善することが分かった。5月29日から6月2日までオーランドで開催されている第45回米国臨床腫瘍学会ASCO2009)で、米国Baylor Sammons Cancer CenterJoyce O'Shaughnessy氏(写真)が発表した。

 エストロゲン受容体(ER)陰性、プロゲステロン受容体(PgR)陰性、HER2陰性−−の3つを特徴とするトリプルネガティブ乳癌(TNBC)は一般に予後不良とされ、特に転移性TNBCの生存期間中央値は13カ月と短い。また、TNBC患者の約30%で転移が生じる。

 TNBC患者では、PARP1遺伝子の発現が正常な乳房組織に比べて高いことが分かっている。BSI-201は、PARPのDNA修復機能を阻害することによって癌細胞のアポトーシスを誘導し、抗癌作用を発揮することが期待されている。

 今回結果が発表されたBSI-201のフェーズ2試験では、転移性TNBC患者123人を、ゲムシタビン/カルボプラチン(G/C)のみの群と、ゲムシタビン/カルボプラチンにBSI-201を併用投与する群に無作為に割り付けた。治療は21日を1サイクルとし、1日目と8日目にゲムシタビン1000mg/m2とカルボプラチン2AUCを投与して、BSI-201併用群では週2回(1日目と4日目、8日目と11日目)に5.6mg/kgを投与した。2サイクル毎に治療効果を評価し、病状が進行したG/C群の患者は、BSI-201併用投与に切り替えることも可能とした。

 主要評価項目とした臨床的有用率(6カ月以上のCR+PR+SDの合計)は、G/C群の21%に対して、BSI-201併用群では62%だった(p=0.0002)。奏効率(CR+PRの合計)はそれぞれ16%、48%であり(p=0.002)、いずれもBSI-201併用群で大きな改善を認めた。

 生存期間の中央値は、G/C群5.7カ月に対してBSI-201併用群9.2カ月であり、BSI-201併用によって生存期間が有意に延長した(ハザード比0.348、p=0.0005)。無進行生存期間の中央値はG/C群3.3カ月、BSI-201併用群6.9カ月だった(ハザード比0.342、p<0.0001)。

 頻度の高い副作用は貧血、好中球減少症、血小板減少症などだったが、忍容性に問題はなく、発生率や種類に関して両群間に違いはみられなかった。

 この好成績を受けてO'Shaughnessy氏は、転移性TNBCに対するBSI-201+ゲムシタビン/カルボプラチンのフェーズ3試験が近く開始されることになるだろうと述べた。


■訂正
・6月3日に以下を訂正しました。
 6段落目で、生存期間の単位を「年」と記載しましたが、正しくは「月」でした。お詫びして訂正します。