米国Global Epidemiology, AmgenのJon. P. Fryzek氏

 進行性前立腺癌患者における骨転移とそれに伴う骨関連事象SRE)が生存期間に及ぼす影響を検討した結果、骨転移がない患者やSREを伴わない骨転移がある患者に比べ、SREを伴う骨転移がある患者の1年死亡率は高く、5年を超えて生存する患者は1%未満であることが分かった。米国Global Epidemiology, AmgenJon. P. Fryzek氏が、5月29日〜6月2日に米国オーランドで開催されている第45回米国臨床腫瘍学会ASCO2009)のGeneral Poster Sessionで発表した。

 進行性前立腺癌では癌が前立腺に限局しているケースでは約4%が遠隔転移し、局所の癌が進行し転移につながるケースは5%と推定される。転移が最も多いのは骨で、重篤なSREからQOLおよび長期生存に悪影響を与える。前立腺癌で死亡する患者の約70%に骨転移のエビデンスを認めるとの報告もある。しかし、生存期間に対する骨転移の影響を定量化した試験はほとんどなく、特に続発的なSREが存在する場合については報告されていない。

 Fryzek氏らは、デンマーク人の3つの前立腺癌の大規模なコホートで、骨転移がない群、SREを伴わない骨転移がある群、SREを伴う骨転移がある群について、骨転移とSREの累積発生率を検討した。

 デンマークの医療データベースは1968年より作成され、国民一人ひとりのcivil personal registration(CPR)番号が登録されている。このデータを利用して、1999〜2007年に前立腺癌と診断された2万3087人(年齢中央値72.6歳)を対象として選出した。2008年4月までフォローアップし、追跡期間の中央値は2.2年であった。

 調査では、癌の診断後の骨転移とそれに続くSREの発生率を推定した。SREとは骨に対する放射線療法と手術、骨折、脊髄圧迫を指す。その後、骨転移がない群2万2404人(97%)、SREを伴わない骨転移がある群569人(2.5%)、SREを伴う骨転移がある群114人(0.5%)の3群で、Kaplan-Meier解析と多変量Cox比例ハザードモデルを用いて生存期間を算出し比較した。

 その結果、前立腺癌のコホートでは、癌の診断から1年後に7.7%、5年後に16.6%が骨転移と診断された。1回以上SREを経験した骨転移がある前立腺癌患者は1691人で、初回のSREは病理学的骨折または骨粗鬆症による骨折169人(10%)、骨に対する放射線照射1017人(60%)、脊髄圧迫446人(26%)、骨の手術59人(3%)であった。

 1年後の粗生存率は、骨転移がない患者(87%)やSREを伴わない骨転移がある患者(47.4%)に比べ、SREを伴う骨転移がある患者(39.9%)で低かった。5年後の粗生存率はそれぞれ55.8%、2.7%、0.7%となった。

 1年後の死亡率比は、骨転移がない患者に比べ、SREを伴う骨転移がある患者は6.7倍、SREを伴わない骨転移がある患者は5.3倍高かった。

 SREは疾患の進行を示し、骨折に対する手術などを含めて寿命の短縮につながる。Fryzek氏は「同僚がデンマーク人であることから、CPRに注目した。今回の研究は、骨転移のある前立腺癌患者が骨の健康の保護を目的とした予防医療から利益を得られるか、SREの発症を遅らせることができるかどうかを探る研究の必要性に焦点を当てるもの」としている。