ドイツPhilipps UniversityのRudolf. Arnold氏

 オクトレオチドLARは、中腸の転移性神経内分泌腫瘍Neuroendocrine Tumors: NET)患者の無増悪期間TTP)を有意に延長した。プラセボ対照第III相試験「PROMID」の中間解析の結果から明らかになった。ドイツPhilipps UniversityのRudolf. Arnold氏(写真)が、5月29日〜6月2日に米国オーランドで開催されている第45回米国臨床腫瘍学会ASCO2009)のOral Presentationで発表した。

 オクトレオチドは、NET患者の重度の下痢や皮膚紅潮などの症状のコントロールに使用されるようになっている。しかし、NETの抗腫瘍効果についてはコンセンサスが得られていない。

 米国National Comprehensive Cancer Network(NCCN)のリリースによると、今年1月のASCO-Gastrointestinal Cancer Symposium(GI)で発表されたPROMIDの中間解析の結果に基づき、NETのガイドラインが改訂となった。オクトレオチドLARは原発巣からの再発や切除不能なカルチノイドに対し、機能性や症状、進行の状況に関わらず、疾患の管理への使用が考慮され、臨床試験の完了、局所切除療法や肝動脈塞栓術、腫瘍減量手術、全身化学療法などに先立ち、治療選択肢として推奨されるようになっている。

 PROMIDはプラセボ対照を設定した初の無作為化、二重盲検の第III相試験で、2001〜2008年にドイツの18の施設が参加し、中腸の転移性NET患者におけるオクトレオチドLARの効果について解析している。

 本試験では、組織学的に確認された局所の手術不能または転移性の高分化型の中腸のNETで未治療の患者85人を、オクトレオチドLAR 30mgを4週ごとに投与する群(42人、年齢中央値63.6歳)またはプラセボを投与する群(43人、同61.0歳)に割り付け、18カ月間、または進行か死亡するまで続行した。主要評価項目は無増悪期間(TTP)、副次的評価項目はWHO基準による奏効率、全生存期間、症状コントロールなどである。

 中間解析には、進行を認めた67人と死亡した16人のデータも含めた。TTPの中央値は、オクトレオチドLAR投与群15.6カ月、プラセボ投与群5.9カ月で、オクトレオチドLAR投与群で有意に延長した(p=0.000017)。ハザード比(HR)は0.33であった。

 投与6カ月後の完全奏効は両群とも0人、部分奏効は各群1人、安定はオクトレオチドLAR投与群28人でプラセボ投与群16人であった。疾患の進行はオクトレオチドLAR投与群10人、プラセボ投与群23人で、不明は各群3人であった。オクトレオチドLARを投与した患者では、プラセボを投与した患者に比べて腫瘍の進行のリスクが67%減少した。ただし、進行時のプラセボからオクトレオチドへのクロスオーバーが含まれるため、生存期間の評価は困難であった。

 なお、オクトレオチドLARは、肝腫瘍量が10%未満の群においても有意なTTPの延長がみられ、また、機能性の有無に関わらずNET患者に有用であることが示された。 

 有害事象により投与中止となったのはオクトレオチドLAR投与群5人、プラセボ投与群0人であった。消化管や造血機能に有害事象が多くみられたが、重篤な有害事象の発生率は両群で差がなかった。

 Arnold氏は「オクトレオチドLAR30mgの投与によりTTPが有意に改善し、腫瘍量が10%未満の患者ではさらに高い効果が示された。オクトレオチドLARは機能性の有無に関わらずNET患者に有用であり、また肝腫瘍減量手術後であっても早期に投与すれば患者の転帰を改善する可能性がある。高分化型の中腸のNET患者の標準治療と考えるべき」と結論した。


■訂正
・6月3日、以下の訂正を行いました。
 7段落目の次に、「なお、オクトレオチドLARは、肝腫瘍量が10%未満の群においても有意なTTPの延長がみられ、また、機能性の有無に関わらずNET患者に有用であることが示された。」を追加しました。