イタリアDell'Universita di TorinoのAntonio Palumbo氏

 65歳以上の未治療の多発性骨髄腫患者に対するVMPT(ボルテゾミブ-メルファラン-プレドニゾン-サリドマイド併用)療法は、VMP(ボルテゾミブ-メルファラン-プレドニゾン併用)療法よりも完全寛解率(CR)を高めるという長期試験の成績が明らかになった。5月29日から6月2日まで米オーランドで開催されている第45回米国臨床腫瘍学会・年次集会(ASCO2009)で、Italian Multiple Myeloma Network(GIMEMA)を代表して、イタリアDell'Universita di TorinoのAntonio Palumbo氏(写真)が発表した。

 この成績は、65歳以上の多発性骨髄腫患者に対する初期治療としてのVMPT療法の効果をVMP療法と比較した大規模フェーズ3臨床試験による。試験の背景として、このような患者に対する標準治療であったMP療法にボルテゾミブを加えたVMP療法と、サリドマイドを加えたMPT療法は、いずれもMP療法よりも奏効率や生存期間を改善することが明らかになっている。

 試験にはイタリアの58施設が参加し、65歳以上の未治療の多発性骨髄腫患者をVMP群とVMPT群に無作為に割り付け、5週×9サイクルの治療+維持療法を行った。VMP群には、ボルテゾミブ1.3mg/m2を週1回ずつ4回投与し(各サイクルの1、8、15、22日)、メルファラン9mg/m2とプレドニゾン60mg/m2を各サイクルの1〜4日に投与した。VMPT群には、VMP群の投与内容に加えて、サリドマイド50mgを連日投与した。維持療法はVMPT群でのみ、ボルテゾミブの隔週投与とサリドマイドの連日投与として実施した。

 長期観察(中央値5サイクル)の結果、VMPT群(221人、平均71歳)とVMP群(229人、平均71歳)の完全寛解率(CR)はそれぞれ35%、21%であり、VMPT群が有意に高かった(p<0.0001)。また、CRとVGPR(極めて良好な部分寛解)を合計した奏効率はVMPT群51%に対してVMP群42%っだった(p=0.06)。

 3年時の無進行生存率(PFS)はVMPT群71%、VMP群56%で、有意ではないもののVMPT群が上回った(p=0.13)が、3年時の全生存率(OS)は90%、89%と差がなかった。

 なお、このフェーズ3試験では当初、ボルテゾミブを1〜4サイクルは週2回4週、5〜9サイクルは週1回4週という形式で投与しており、後に1〜9サイクルとも週1回4週の投与に修正した。前者(最初に週2回)と後者(週1回のみ)を比較すると、CRはそれぞれ38%、32%と大きな差はなかったが、グレード3-4の末梢神経障害の発生率は18%、2%と週1回の方がはるかに少なかった(VMP群も2%)。他の副作用の発生率についても、VMPT群(ボルテゾミブ週1回投与)とVMP群との間に大きな差はみられなかった。

 以上のデータから、Palumbo氏らは、VMPT療法はVMP療法よりも完全寛解率が優れるというメリットがある一方で、ボルテゾミブの投与回数を減らすことで安全性も確保されると結論した。