Memorial Sloan-Kettering Cancer Center のVincent A. Miller氏

 進行性非小細胞肺癌(NSCLC)患者において、エルロチニブとベバシズマブの併用は、化学療法とベバシズマブの初回治療後の維持治療として、ベバシズマブ単独よりも進行を遅らせる効果のあることが、フェーズ3試験「ATLAS」で明らかになった。5月29日から6月2日にオーランドで開催されている米国臨床腫瘍学会(ASCO2009)でMemorial Sloan-Kettering Cancer Center のVincent A. Miller氏(写真)らが発表した。

 ATLAS試験は、ステージ3b/4のNSCLC患者768人を対象に、維持治療として、ベバシズマブ(15mg/kg)とエルロチニブ(150mg)の併用群とベバシズマブとプラセボの投与群を比較する無作為化二重盲検フェーズ3試験。すべての患者が初回治療として化学療法とベバシズマブによる治療を4サイクル受け、病気進行もしくは重篤な毒性の見られなかった患者を無作為に2群に割り付けた。

 主要評価項目は無作為化後の無増悪生存期間(PFS)とされ、試験ではPFS中央値が26%改善された場合、ハザード比にして0.79、p値は0.05と設計されていた。

 中間解析の結果、主要評価項目に達したことから、データ安全性監視委員会(DSMC)は試験の中止を勧告した。追跡期間中央値は8.3カ月(0〜24.4カ月)であった。

ベバシズマブとエルロチニブの併用群のPFS中央値は4.76カ月(95%信頼区間4.14‐5.52)、ベバシズマブ単独群は3.75カ月(同2.83‐4.04)、ハザード比は0.722 (同 0.592‐0.881)、p値は 0.0012と、エルロチニブの投与によってPFSは有意に改善した。また3カ月PFS率は併用群が67.7%、ベバシズマブ単独群が53.4%で、6カ月PFS率はそれぞれ40.3%、28.4%であった。

 年齢や性別、喫煙歴などのサブグループに分けて解析しても、併用群の方がPFSは良好であることが示された。全生存の結果は2009年後半期に発表される見込み。

 重篤な有害事象(SAE)は併用群で22.9%、ベバシズマブ単独群で16.3%であったが、死亡はそれぞれ30.5%、30.4%と同程度だった。主なグレード3/4の有害事象は、出血が併用群1.6%、単独群1.4%、肺出血はそれぞれ0.8%、0.5%で、以下、高血圧は5.4%、5.7%、ATE(動脈血栓塞栓症)は2.2%、1.4%だった。グレード3/4の発疹は併用群で10.4%、単独群では0.5%、下痢はそれぞれ9.3%、0.8%と、併用群で多い傾向を示した。しかし、いずれもベバシズマブやエルロチニブですでに報告された安全性プロファイルとほぼ同じで、演者らは新たな副作用の発現はなかったとした。