ドイツUniversity of HeidelbergのP. Hohenberger氏

 局所進行性の消化管間質腫瘍GIST)に対するイマチニブ術前補助療法で、腫瘍が顕著に縮小し、切除範囲を減じた完全切除により、臓器をより温存する手術も可能になったことが明らかになった。5月29日から6月2日にオーランドで開催されている米国臨床腫瘍学会(ASCO2009)で、ドイツUniversity of HeidelbergP. Hohenberger氏ら(写真)が発表した。

 対象は、局所進行GIST患者36例で、CTやMRI、FDG-PETによって遠隔転移が認められた症例はなかった。原発巣の部位は、食道/食道胃境界部 (EGJ)が5例、胃が17例、十二指腸が2例、小腸が3例、直腸が9例だった。イマチニブ400mg/日を6カ月間投与し、手術の3〜5日前まで継続した。ただし、c‐kit遺伝子エクソン9変異を有する2例には800mg/日を投与した。

治療期間中央値は11カ月(2〜31カ月)で、33例が治療を完遂した。腫瘍サイズは中央値でイマチニブ投与前10.5cm(4-28cm)であったが、投与後5.5 cm(1.9-20cm)まで縮小した。2例が手術を拒否し、1例は切除不能であり、結局、完全切除率は90%(28例)だった。

 術前投与の前後で比較すると、術前投与開始前に腹腔鏡で切除不能であると診断された6例のうち5例が切除可能となり、多臓器切除と診断された16例では、投与後は多臓器切除は4例に減少した。また、胃全摘と診断された症例では胃部分切除への変更、あるいは膵切除の回避など、より温存的な手術が可能となっていた。

 組織学的には、完全寛解(pCR) が1例、完全寛解に近い状態(near CR) が11例、活動性の腫瘍がない部分寛解(good PR) が18例であった。また5年生存率は78.6%だった。

 これらの結果から、Hohenberger氏は「局所進行GISTにおける多臓器切除はもはや標準治療ではない」と述べ、「局所進行GISTにおいて、腫瘍サイズを減少するための術前のイマチニブ投与は消化器癌に対する他の術前補助化学療法に比べ、その奏効率は高く、考慮されるべき治療法である」と考察した。