癌研有明病院の西尾誠人氏

ベバシズマブについて日本人の非扁平上皮非小細胞肺癌NSCLC)患者で行われた初の第II相試験で、カルボプラチン/パクリタキセル(CP)とベバシズマブ15mg/kgの併用により無増悪生存期間(PFS)と奏効率(RR)が有意に改善されることが明らかになった。5月29日から6月2日に米国オーランドで開催されている第45回米国臨床腫瘍学会ASCO2009)のGeneral Poster Sessionで、癌研有明病院西尾誠人氏(写真)が発表した。

 ベバシズマブはヒト化モノクローナル抗体で、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を標的として血管新生を阻害し、腫瘍の増殖と生存を妨げる。

 海外ではECOG 4599とBO 17704の2件の第III相試験により、べバシズマブを白金製剤ベースのレジメンに併用すると、進行性のNSCLC患者の全生存期間(OS)やPFSが改善することが証明されている。しかし、日本人のNSCLC患者におけるべバシズマブの有効性および忍容性の検討は行われていなかった。

 西尾氏らは、多施設共同、無作為化、オープンラベルの第II相試験で、進行性または再発性の非扁平上皮NSCLCで化学療法未施行の患者について、ベバシズマブ15mg/kgをCPに併用する群とCP単独群の週3回のレジメンで比較し、有効性と安全性を評価した。主要評価項目はPFS、副次的評価項目はOS、奏効率(RR)、進行までの期間、安全性とした。

 カルボプラチン(C)はAUC=6、パクリタキセル(P)は200mg/m2、ベバシズマブは15mg/kgで3週ごとに6サイクルまで投与し、6サイクル以降は進行するまでべバシズマブ15mg/kgを投与する群と、CP単独群とに2:1で割り付ける予定とした。本試験は、対照と比べてベバシズマブ併用群でPFSイベントのリスクが20%低下することを観察するデザインとした。

 2007年4月〜2008年3月に予定人数の180人が登録し、CPとベバシズマブ併用群は121人(男性64%、年齢中央値61歳)、CP単独群は59人(男性64%、年齢中央値60歳)に割り付けた。実際に治療を受けたのは177人であった。

 有効性の解析対象となった175人では、ベバシズマブ併用群(117人)でPFSおよびRRが有意に改善した。PFSの中央値は6.9カ月、RRは61%であった。CP単独群(58人)ではそれぞれ5.9カ月と31%だった。PFSのハザード比(HR)は0.61となった。OSデータはフォローアップ期間が短いため未完成となっている。

 進行までの期間の中央値は、ベバシズマブ併用群で6.3カ月、CP単独群で4.7カ月で、HRは0.58となった。

 安全性の解析対象となった177人では、グレード3以上の有害事象全体の発生はベバシズマブ併用群98%、CP単独群93%で、ベバシズマブに関する新たな安全性の問題は検出されなかった。ベバシズマブ併用群で1人にグレード5の喀血を認め、グレード3以上の有害事象で多かったのは好中球減少、高血圧、出血などであった。

 本試験は海外の過去の試験と比べてPFSのハザード比(HR)は同程度に良好と考えられ、ベバシズマブの安全性もすでに報告されているものと同等であった。「本試験は日本人の進行性NSCLC患者におけるベバシズマブの最初の試験であり、ファーストライン治療としてベバシズマブ15mg/kgをCPに追加することで、PFSとRRが有意に改善され、安全性も高いことが証明できた」と西尾氏は話している。