抗癌剤治療を受けたことのない切除不能の進行性非小細胞肺癌(NSCLC)患者において、S-1シスプラチンの併用療法に放射線治療を加えると、高い効果と安全性を持つことが明らかになった。成果は、5月30から6月3日にシカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)で、癌研有明病院(東京都江東区)呼吸器センターの大柳文義氏が発表した。

 現在、病期靴NSCLC患者では、放射線治療と化学療法の併用は標準として行われているが、最適なfull-doseの治療レジメンはまだ確立されていない。

 試験対象は、2005年8月〜2007年4月の間に登録されたNSCLCの患者50人(男性43人、女性7人)。年齢中央値は62.7歳(35-74)で、全身状態は安定している人が多く、performance status(PS)は0が36人、PS1が14人だった。病期は、Aが23人、Bが27人で、いずれも抗癌剤による治療を受けたことのない患者を対象とした。組織型は腺癌30人、扁平上皮癌14人、その他のNSCLCが6人だった。

 治療スケジュールは、4週間を1サイクルとし、シスプラチン(60mg/m2)を1日目に、S-1(80mg/m2/day)を1〜14日目に投与、15〜28日目は休薬期間とした。これを4サイクル(16週間)おこなった。前半の2サイクルで60Gyの放射線治療(1日あたり2Gyを30回照射)を並行して行い、後半の2サイクルは化学療法単独とした。

 プライマリエンドポイントは奏効率、セカンダリーエンドポイントは毒性、生存期間(無増悪生存期間、全生存期間)とした。

 その結果、完全奏効(CR)を得られた患者はいなかったものの、部分奏効(PR)が得られたのは48人中42人で、奏効率(CR+PR)は87.5%だった(95%信頼区間78.1-96.9%)。病状安定は6人だった。

 平均21カ月の追跡で、無増悪生存期間の中央値は13.4カ月。生存期間中央値を算出するには至らず、1年生存率は89%だった。本試験のレジメンで4サイクルの治療を完了できたのは78%(39人)だった。

 治療による副作用については、比較的軽度のものが多かった。前半の化学放射線治療併用中では、グレード3〜4の主な血液学的毒性は、好中球減少(グレード3/4:7人/0人)、白血球減少(8人/0人)。非血液学的毒性については、多かったのは貧血(4人/0人)、疲労(3人/0人)、食道炎(3人/0人)だった。

 同様に、その後の化学療法単独におけるグレード3/4の主な副作用は、好中球減少(8人/1人)、白血球減少(8人/1人)、食道炎(4人/0人)だった。

 大柳氏は、「本レジメンは、他の報告されているフェーズ2試験と比べて、副作用は軽度のものが多く、肺炎や食道炎も少なかった。十分な忍容性があり、効果については他の治療法と同等だった」と結論付けた。