マルチキナーゼ阻害剤のスニチニブによる腎細胞癌への効果と、甲状腺機能障害が関連している可能性が指摘された。甲状腺機能障害が治療効果を予測するバイオマーカーになるかもしれない。成果は5月30日から6月3日にシカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)ベルギーUniversity Hospital GasthuisbergのPascal Wolter氏によって発表された。

 研究グループはいくつかの研究で、スニチニブの治療を受けた患者の約3分の2で甲状腺機能障害が報告されていたことから、スニチニブの効果と甲状腺機能障害の関係を調べた。転移性でサイトカイン療法に耐性か不適応の腎細胞癌患者53人を対象に試験は行われた。患者は甲状腺疾患があるか、4週間以下のスニチニブ投与で甲状腺ホルモン補充療法を受けた患者は評価対象から除かれた。スニチニブの投与は、1日当たり50mgを経口で4週間投与し、2週間休薬するスケジュールで行われた。

 評価の対象となった患者は40人(男性30人)、投与開始時の年齢中央値は59歳(42-81)だった。試験の結果甲状腺機能に異常をおこさなかったのは12人(30%)のみで、残りの28人は何らかの甲状腺機能障害を起こした。13人(32.5%)の患者が治療が必要な臨床上の甲状腺機能低下症を起こし、少なくとも1回甲状腺刺激ホルモンが上昇した患者が12人(30%)、低下した患者が3人(7.5%)いた。

 甲状腺機能障害と効果の関係を調べたところ、生化学的に甲状腺機能障害がない患者の全生存期間(OS)中央値は6.6カ月(95%信頼区間3.3-7.9)だったのに対して、異常が見られた患者では18.2カ月(95%信頼区間7.5-22.3)と長くなる傾向が認められた。

 また、全体の奏効率は19人が部分奏効(PR)に到達し47.5%だったが、臨床上の甲状腺機能低下症を起こした患者に限定すると61.5%で、甲状腺機能障害のない患者では25%に留まっていた。