切除不能の遺伝性甲状腺髄様癌において、バンデタニブ1日100mgで抗腫瘍効果が見られ、副作用も管理可能な範囲であることがフェーズ2臨床試験で明らかになった。成果は5月30日から6月3日にシカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)で、米Dana-Farber Cancer InstituteのR.Haddad氏らが報告した。

 甲状腺髄様癌(MTC)は、遺伝性腫瘍である多発性内分泌腫瘍症2型患者の主な死因とされる。多発性内分泌腫瘍症2型にはMEN2AとMEN2B、家族性甲状腺髄様癌の3つの型があり、癌原遺伝子RET(rearranged during transfection)の変異がいずれも高頻度に見られる。

 バンデタニブ(vandetanib, ZD6474)は、RETと血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)、上皮成長因子受容体(EGFR)に対する阻害剤。転移性MTC患者を対象にバンデタニブ300mgの投与を検討したフェーズ2臨床試験で抗腫瘍効果が認められている(J.Clin.Oncol.2007;25(18S),abst 6018)。

 今回の試験はその結果を踏まえて、バンデタニブ100mgの効果を確認するためのオープンラベル試験。2006年8月から2007年5月までに転移性MTC患者18人と局所進行MTC患者1人が登録された。年齢中央値は44歳、すべての患者が甲状腺摘出術を受けていた。

 1日1回バンデタニブ100mgを経口で病状進行まで継続投与した。2008年1月31日までの治療期間中央値は305日(1から501日)。19人のうち11人は100mgで継続可能だったが、8人は有害事象(3人)、病状進行(4人)、患者の意志(1人)により投与を中止した。また病状進行後の治療としてバンデタニブ300mgを投与した4人では、うち3人が治療を継続した。

 100mg投与における抗腫瘍効果は、部分奏効が16%(19人中3人)、24週以上の安定状態が53%(同10人)、8週以上24週未満の安定状態は11%(同2人)だった。このため24週以上の病勢コントロール率は68%(同13人)となった。

 主な有害事象は、下痢(9人)、倦怠感(8人)、皮疹(5人)、便秘(4人)、食欲不振(3人)背部痛(3人)、吐き気(3人)、光過敏症(3人)。グレード3の有害事象は、高血圧(1人)、筋痛症(1人)、褐色細胞腫(1人)、無症候性QTc延長(1人)、視覚障害(1人)で、グレード4の有害事象が尿崩症(1人)だったが、いずれも対症療法や投与中止などにより管理可能だったとしている。

 局所進行あるいは転移性MTCに対し、バンデタニブ1日300mgを投与する国際的無作為化プラセボ対照フェーズ3臨床試験がすでに進行中だ。