進行再発性胃癌患者を対象にした、ラパマイシン標的たんぱく質mTOR阻害薬エベロリムスRAD001)のフェーズ2試験で、59.4%に上る病勢コントロール率が得られたことが明らかになった。試験結果の詳細は、5月30日から6月3日まで米シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)で、愛知県立がんセンター中央病院薬物療法部部長の室 圭氏が報告した。

 エベロリムスは経口投与できる分子標的薬で、現在、胃癌のほか、ASCO期間中に良好な成績が発表された進行腎細胞癌(関連記事を参照)、神経内分泌腫瘍、海外ではさらに乳癌大腸癌肺癌など多数の癌腫でフェーズ2試験が行われている。

 本臨床試験は、進行再発性胃癌で、以前に薬物療法を1ないし2レジメン受けたが、それでも病状が進行した患者を対象とした。エベロリムス10mgを1日1回経口投与(1サイクル=28日)し、病状の進行や容認できない毒性などが出現するまで治療を継続した。

 2007年8月から2008年4月までの間に54人が登録した。そのうち、効果を8週間フォローアップできた32人について中間分析を行った(2008年4月データ)。

 平均年齢は63歳(35-77歳)。男性が24人、女性が8人。ECOG PSは0/1ともに16人ずつだった。本治療の前に受けた薬物療法歴は、1レジメンが16人、2レジメンが16人だった。薬物療法のファーストラインで多かったのは、5-FU単独(16人)、5-FU+シスプラチンCDDP)(13人)だった。セカンドラインで多かったのは、イリノテカン単独(6人)、5-FU+CDDP(4人)などだった。エベロリムスの投与期間は中央値で66.5日(11−193日)で、6人が現在も治療を継続中という。

 プライマリエンドポイントは、病勢コントロール率(DCR:CR+PR+SD)で、病状安定が8週間以上続くこととした。セカンダリエンドポイントは、奏効率(ORR)無増悪生存期間(PFS)全生存期間(OS)、エベロリムスの安全性とした。

 結果は、安定状態(SD)が8週間以上続いた患者が32人中19人(59.4%)、CR/PRは共に0人で、病勢コントロール率は59.4%だった。一方、8週間経過前に13人に病勢増悪(PD)がみられた。50%無増悪生存期間は平均84日(95%信頼区間:33−90日)だった。

 治療関連の有害事象については、そのほとんどはグレード1か2で、主なものは口内炎皮疹食欲不振疲労だった。グレード3/4の有害事象については、グレード3の口内炎が2人、貧血下痢食欲不振糖尿病高血糖高ナトリウム血症が1人ずつ見られた。グレード4については、腫瘍出血脳梗塞が1人ずつみられた。

 先行する薬物療法で効果が得られなかった進行再発性胃癌に対する治療成績では、週1回のパクリタキセル投与でDCR=50%というデータがある。室氏は、「中間成績ではあるが、エベロリムス単独療法のDCRは目標だった50%を超え、期待以上の結果を得られた」と話す。「本試験の最終成績次第だが、今後はグローバルでフェーズ3試験を実施したい」と話していた。