Maryland大学のA. Z. Badros氏

 血液癌の一種である多発性骨髄腫に対するフェーズ1臨床試験で、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤ボリノスタットと、プロテアソーム阻害剤ボルテゾミブの併用は十分な忍容性があり、ボルテゾミブ単独投与で無効だった多発性骨髄腫においても有効である可能性が示された。成果は5月30日から6月3日にシカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)のポスターセッションで、米Maryland大学のA. Z. Badros氏らが報告した。

 ボリノスタット(vorinostat)は、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)の治療薬として米国では認可されており、国内のフェーズ1試験でも再発・再燃非ホジキンリンパ腫に対し有効性が確認されている。

 今回のフェーズ1臨床試験は多発性骨髄腫患者23人を対象とした。年齢中央値は54歳(39-78歳)。多発性骨髄腫と診断されてから試験登録までの期間は中央値で5.7年(1.8-9年)。前治療から試験までの期間中央値は20日(15-39日)。骨髄腫細胞で産生された免疫グロブリンはIgG型が11人、IgA型4人、軽鎖が8人だった。

 前治療として中央値で7種類(3-13種類)の治療を受けており、造血幹細胞移植では自己移植が20人、タンデム自己移植が6人、同種移植が1人だった。またサリドマイドは23人、レナリドミド(lenalidomide)は17人。ボルテゾミブによる治療を受けていたのは19人で、治療期間中央値は6カ月(2-40カ月)だった。

 試験ではボルテゾミブ1.3mg/m2を1日目、4日目、8日目、11日目に投与し、ボリノスタットは4から11日目に100mgから段階的に増量し500mgまで投与した。これを3週間おきに8サイクルまで継続した。

 この結果、主なグレード3/4の毒性は、1サイクル目では血小板減少(6人)、好中球数減少(2人)、ヘモグロビン値低下(1人)、倦怠感(1人)、QT延長(1人)。2から8サイクルでは、血小板減少(13人)、好中球数減少(3人)、ヘモグロビン値低下(5人)、倦怠感(5人)、肺炎(3人)だった。

 ボリノスタット500mgを投与した2人にQT延長と倦怠感が認められ、500mgを用量制限毒性(DLT)とした。最大耐用量 (MTD)はボルテゾミブ1.3mg/m2の1、4、8、11日目投与およびボリノスタット400mgの4から11日目投与となった。

 効果判定できた21人のうち、VGPR(非常に良い部分奏効) は2人、PRは7人で、SDは10人、PDは2人だった。

 ボリノスタットの薬物動態では、100mgから500mgまで線形性が確認され、ボルテゾミブを併用してもボリノスタットの薬物動態に変化はなかったという。

 これらの結果から、ボルテゾミブ1.3mg/m2の1、4、8、11日目投与およびボリノスタット400mg の8日間投与は、多発性骨髄腫において有効性が期待できるとした。