上皮細胞成長因子受容体(EGFR)と上皮細胞成長因子受容体2(HER2)の両方のチロシンキナーゼを不可逆的に阻害するBIBW2992が、EGFRを活性化する変異を持った3B期、4期の肺腺癌患者に有効である可能性が明らかとなった。フェーズ2試験の予備的な解析の結果、示されたもので、成果は5月30日から6月3日にシカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)で台湾National Taiwan University HospitalのC.Yang氏が発表した。

 フェーズ2臨床試験は、米国と台湾で行われているもので、EGFRのエクソン18から21に変異を持つ患者で、細胞傷害型抗癌剤によるファーストライン治療で増悪した患者、術前補助化学療法、術後補助化学療法で増悪した患者が対象とされた。2007年9月13日から2008年5月10日まで174人の患者検体をスクリーニングし、64人にEGFRの変異を見つけ、うち28人の患者にBIBW2992を投与した。BIBW2992の投与は1日1回50mgを病状が進行するか、副作用で投薬できなくなるまで行った。副作用の発現に応じて、40mg、30mgへの減量は可とした。主要評価項目は奏効率だった。

 少なくとも4週間の治療が行われ、効果の評価が可能であった24人のうち、部分奏効(PR)が12人、安定状態(SD)が9人、進行(PD)が1人、評価不能が2人で奏効率は50%(95%信頼区間30-70)だった。

 一方、副作用は他のEGFRチロシンキナーゼ阻害剤と類似しており、皮膚疾患が87.4%の患者に見られたが、グレード3のものは3人(12.5%)だけだった。主な皮膚疾患は皮疹、皮膚反応、座瘡などだった。その他の副作用は下痢、爪周囲炎、口内炎などだった。

 BIBW2992は、現在可逆的EGFR阻害剤で治療がうまくいかずEGFRに変異を持つ患者を対象にしたフェーズ2/3臨床試験が開始されているという。