Case Western Reserve大学のRenee N. Salas氏

 スニチニブテムシロリムスを投与された転移性腎細胞癌患者の、末梢血中の免疫細胞に変動が起きていることが明らかとなった。免疫への影響が解明されることは、抗腫瘍T細胞反応を高めることを狙う将来的な併用療法を開発する上で役立つと期待できる。成果は5月30日から6月3日にシカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)で米Case Western Reserve大学のRenee N. Salas氏によって発表された。

 研究グループは転移性腎細胞癌患者でスニチニブの投薬を受けた7人とテムシロリムスの投薬を受けた7人から、1サイクル目の1日目、1サイクル目の28日目、2サイクル目の28日目、4サイクル目の28日目に末梢血単核球を採取した。また、年齢を一致させた健康な20人から採取した末梢血単核球を対照とした。両群から得た細胞をフローサイトメーターで測定し、免疫系を測定した。

 その結果、1サイクル目の1日目では、患者群で健康者群に比べて、骨髄由来抑制性細胞の増加、制御性T細胞(Tregs)の増加、細胞傷害性T細胞(CTL)などを誘導するTh1反応の減少が見られ、癌抗原を提示して癌に対するCTLを誘導する樹状細胞には差がなかった。

 スニチニブの投薬1サイクル目の1日目と2サイクル目の28日目の免疫細胞の変化を調べたところ、骨髄由来抑制性細胞が減少し、抗癌効果に適した免疫細胞の変化が認められた。しかし、抗癌免疫反応に寄与すると考えられる樹状細胞は減少していた。スニチニブが免疫の抗癌作用を抑制するTregsを減らし、Th1反応を増加させ、Th2反応を減少させることは既に報告されているという。

 一方、テムシロリムスも1サイクル目の1日目と2サイクル目の28日目の免疫細胞の変化を調べたところ、制御性T細胞を減らし、Th1反応を増加させTh2反応を減少させていた。