切除不能な転移性結腸直腸癌において、抗EGFR抗体製剤セツキシマブの標準的化学療法への追加は、KRAS遺伝子野生型の患者では奏効率無増悪生存期間を改善したが、変異型では上乗せ効果は見られないことが、大規模無作為化フェーズ2臨床試験であるOPUS試験のレトロスペクティブ解析で確認された。成果は5月30日から6月3日にシカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)で、ドイツUniversity Hospital EppendorfのCarsten Bokemeyer氏が発表した。

 KRAS遺伝子に変異があると、上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)を阻害しても、KRAS蛋白が活性化し、腫瘍細胞の増殖を促す。KRAS遺伝子の変異は転移性結腸直腸癌患者の40%から45%に認められ、一般に予後不良につながるといわれている。

 OPUS試験は転移性結腸直腸癌患者337人を対象に、初回治療として、FOLFOX4とセツキシマブの併用と、FOLFOX4単独を比較した試験。無増悪生存期間はセツキシマブ併用群もFOLFOX4単独群も7.2カ月と、セツキシマブによる上乗せ効果は認められなかったが、全身状態が比較的良好な患者(ECOG PS 0/1)において単独群の奏効率が36.8%に対し、併用群は49.0%と有意に高い奏効率が得られている。

 今回の解析は、KRAS遺伝子の分析が可能だった233人を対象として行われた。うちKRAS野生型は134人(58%)で、変異型は99人(42%)だった。

 KRAS野生型では、併用群(61人)の奏効率が60.7%、単独群(73人)は37.0%と有意な違いが見られた(p=0.011)。完全奏効(CR)は併用群で3.3%、単独群は1.4%、部分奏効(PR)はそれぞれ57.4%、35.6%で、安定状態(SD)は31.1%、41.1%、病気進行(PD)は4.9%、16.4%だった。

 一方、KRAS変異型では、併用群(52人)の奏効率が32.7%、これに対し単独群(47人)は48.9%と、有意差はないものの単独群のほうが高い奏効率が示された(p=0.106)。併用群のCRは0%、単独群は4.3%、PRはそれぞれ32.7%、44.7%で、SDは51.9%、36.2%、PDは13.5%、10.6%だった。

 無増悪生存期間の中央値はKRAS野生型では併用群が7.7カ月、単独群が7.2カ月で、ハザード比は0.57(p=0.016)と併用群で長かったが、変異型では結果は逆となり、併用群が5.5カ月、単独群で8.6カ月、ハザード比は1.83(p=0.0192)だった。

 また群内で比較すると、セツキシマブ併用群ではハザード比は0.448(p=0.0009)となり、KRAS野生型は変異型に比べて無増悪生存期間が有意に長いことが示された。それに対し、FOLFOX4単独群ではハザード比は1.404(p=0.1655)と、無増悪生存期間はKRAS変異の有無とは有意な関連性は見られなかった。

 グレード3/4の副作用は、野生型では併用群が83.6%、単独群は63.0%、変異型では併用群が67.3%、単独群は78.7%に見られたが、セツキシマブあるいはFOLFOXの副作用プロファイルとほぼ同等の結果であったとしている。

 これらの結果により、OPUS試験でもセツキシマブの投与は、KRAS野生型の患者でのみ有効性が認められたことになる。Bokemeyer氏は「臨床的にはKRAS変異およびクリニカルニードに従って治療を決めることになるが、変異型の患者にはベバシツマブを含む他の化学療法を選択することになるだろう」と語った。また人種差に関しては、「現時点ではデータがそろっていないため結論は出せない」とした。