HER2陽性の転移性乳癌のサードラインとしてカペシタビントラスツズマブの併用療法を行うと、全生存期間(OS)は22.3カ月、無増悪生存期間は4.1カ月と良好な成績が得られた──。これは、東北大腫瘍外科准教授の石田孝宣氏らが行った日本人初の多施設共同フェーズ2試験で明らかになった結果。成果は5月30日から米シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)で発表された。

 HER2陽性の転移性乳癌では、アントラサイクリン系抗癌剤(and/or)タキサン系抗癌剤を投与するのが標準とされているが、その後のサードライン以降の標準治療は確立されていない。本試験は、対象をこれらの両治療が効かなかった患者のみ(サードライン以降)に厳格に絞り込んだ。サードライン以降のみを対象に行ったフェーズ2試験は国内外でも初めて。

 治療スケジュールは、トラスツズマブ2mg/kg/日を1週間ごとに(day:1、8、15、22、1回目のみ4mg/kg/日)、カペシタビン1657mg/m2を21日間投与し(day:1-21)、7日間休薬するというもの。1コースは28日間で2コースごとに画像評価し、増悪がみられなければ6コースまでは続けることとした。

 対象は、HER2陽性の転移性乳癌で、アントラサイクリン系抗癌剤、タキサン系抗癌剤による治療を受けた患者38人(ECOGのPS:0-2)。平均フォローアップ期間は22.4カ月だった。平均年齢は53歳(30-69)、閉経前/後は31.6%、68.4%。エストロゲンレセプター陽性/陰性は18.4%、81.6%。本試験前にトラスツズマブの治療を受けた患者は30人(78.9%)で、転移数としては、1つだったのが27人(71.1%)、2つ以上なのが10人(26.3%)だった。

 本試験の主要評価項目は全生存期間(OS)、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、奏効率(RR)、安全性とした。

 その結果、平均全生存期間は22.3カ月(1年生存率81.6%、2年生存率47.4%)、無増悪生存期間の平均は4.1カ月だった。治療効果としては、完全奏効(CR)が2人(5.3%)、部分奏効(PR)が5人(13.2%)、安定状態(SD)が20人(52.6%)、増悪(PD)が8人(21.1%)、評価できないのが3人だった。奏効率(RR)が18.4%(95%信頼区間7.7-34.3)、臨床的有効率(CBR=CR+PR+SD≧24週間)が21.1%(95%信頼区間9.6-37.3)。

 主な有害事象は、好中球減少、肝機能の低下、手足症候群だったが多くがグレード1-2。グレード3以上の有害事象としては手足症候群が3人(7.9%)、好中球減少が2人(5.3%)にみられたものの、グレード4の有害事象はみられなかった。

 石田氏は、「アントラサイクリン系抗癌剤とタキサン系抗癌剤で効果が得られなかった患者は、その後様々な治療を受けているが、その平均全生存期間は12カ月、1年生存率は34%といわれている。本治療は大幅に生存期間を延長できていた。重篤な副作用もほとんどなく、十分忍容性があることも分かった」と話す。

 同氏は、「今後は、HER2陽性転移性乳癌に対して臨床現場で広く行われている、トラスツズマブ+カペシタビン併用療法とトラスツズマブ+ビノレルビン併用療法の直接比較試験も行っていきたい」と話している。