ポルトガルHospital de Santa Maria and Instituto de Medicina MolecularのLuis A. Costa氏

 ビスホスホネート治療を受けている骨転移を伴う乳癌患者のリスク予測因子として、1型コラーゲンC末端テロペプチドICTP)、MMP1NTxが有用であることが明らかになった。この結果は、5月30日から6月3日にシカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)で、ポルトガルHospital de Santa Maria and Instituto de Medicina MolecularのLuis A. Costa氏が発表した。

 1型コラーゲンC末端テロペプチド(ICTP)はマトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)活性によるコラーゲン分解産物として血中に放出される。現在、骨代謝マーカーの1つとして有望視されているが、今回、Luis A. Costa氏らは、このICTPをはじめ、MMP1、NTx(1型コラーゲン架橋N-テロペプチド)などの各マーカーが、骨転移を伴う乳癌患者に対するビスホスホネート治療において、生命予後や骨関連イベント(SRE)リスクの予測因子として有用であるか否かをプロスペクティブに検討した。

 対象は、骨転移を伴う乳癌患者71例(平均年齢64歳)であり、ビスホスホネート治療(ゾレドロン酸50例、パミドロン酸29例、クロドロン酸5例:※13例は複数併用)が実施された。

血清ICTP、血清MMP1で骨関連イベント発生までの期間を有意に予測可能

 治療前における血清MMP1値(中央値3.04ng/mL)、血清ICTP値(同11.6μg/L)、尿中NTx値(同122.0nM BCE/nmol creatinine)と、全生存(OS)、疾患進行までの期間(TTP)、SRE発生までの期間(TTSRE)との相関を検討した。

 追跡期間は中央値21カ月であり、SREが1回以上発生した患者は50例。全体群におけるOS中央値は28カ月、TTP中央値10カ月、TTSRE中央値8カ月であった。

 解析の結果、尿中NTxはOS(ハザード比=1.88、p=0.026)にのみ有意な相関を示し、TTP、SRE、TTSREに対しては有意な相関を示さなかった。

 一方、血清ICTPはOS(HR=1.93、p=0.002)およびTTSRE(HR=1.49、p=0.044)と有意な相関を示し、また、血清MMP1はTTRE(HR=1.5、p=0.028)と有意な相関を示した。しかし、OS・TTP・TTSREの全てと相関を示すマーカーは認められなかった。

 これらの結果から、Luis A. Costa氏らは「ビスホスホネート治療中の骨転移を伴う乳癌患者において、ICTPおよびMMP1は、NTxに対して補足的に使用可能なマーカーと考えられ、とくに、破骨細胞による機序とは独立した、腫瘍による骨溶解機序が強く作用している患者を予測するのに有用と考えられることから、今後も検討する必要がある」と結論した。