75歳以上の切除不能な転移性結腸直腸癌患者に対するベバシズマブを含む治療は、全身状態が良ければ安全であり、積極的に行うことができる──。この結果は、大規模観察研究BRiTE 試験のサブ解析で確認されたもので、5月30日から6月3日に米シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)で、シカゴ大学のMark F. Kozloffら氏が報告した。

 BRiTE(Bevacizumab Regimens Investigation of Treatment Effects and Safety) 試験は、初回治療としてベバシズマブと化学療法の併用投与を行った、切除不能な転移性結腸直腸癌患者1953人を対象とした。化学療法はFOLFOXが56.0%、FOLFIRIが14.3%などだった。

 年齢構成は65歳未満が1057人、65〜74歳が 533人、75歳以上が363人で、80歳以上が161人 だった。全身状態は、65歳未満ではPS 0が50.0 %、PS 1が37.7%、PS 2以上が4.9%、65〜74歳ではそれぞれ38.5%、47.3%、7.1%、75歳以上では同28.7%、47.9%、12.7%、80歳以上では27.3%、49.1%、11.8%だった。

 分析の結果、無増悪生存期間の中央値は全患者(1953人)では9.9カ月であり、65歳未満では10.2カ月、65〜74歳では9.7カ月、75歳以上では9.8カ月、80歳以上では9.2カ月だった。

 全生存期間の中央値は全患者では23.5カ月、65歳未満では27.3カ月、65〜74歳では21.3カ月で、75歳以上では19.5カ月、80歳以上では16.2カ月と、高齢者ほど全生存期間が短いことが示された。この点について研究グループは、高齢者では全身状態が良好でなかった患者が比較的多かったことや、積極的な化学療法や病気進行後の治療が行われにくいことによるものと考察している。

 1年生存率は全患者では74.4%、年齢別ではそれぞれ77.1%、72.5%、69.4%、65.8%だった。また死亡リスクは、65歳未満に対し、65〜74歳ではハザード比が1.06(95%信頼区間0.92-1.23、p=0.3833)、75歳以上でも1.16(同0.99-1.37、p=0.0614)と、有意な違いは見られなかった。

 安全性については、動脈血栓塞栓症(ATE)が65歳未満では1.6%であるのに対し、75歳以上では3.9%、80歳以上では3.7%と、高齢者では高いことが示されたが、ATEの既往のある患者が高齢者ほど多かったことが関連しているとした。ATE以外の副作用は65歳未満の患者とほぼ同等の結果だった。

 これらの結果から、転移性結腸直腸癌において「患者の年齢のみで治療方針を制限すべきではない」とした。ただし、「全身状態が良く、化学療法に耐えられることが条件である」とKozloff氏は語った。