NK012は、イリノテカン活性代謝物であるSN-38高ミセル化した新薬。米国におけるフェーズ1試験で十分な忍容性があることが確認され、難治性の癌患者で抗腫瘍効果が示された。成果は、5月30日から6月3日まで米シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会ASCO)で、Sarah Cannon Research Institute,Nashville,TNのHaward A. Burris, III氏が発表した。

 NK012は、国内では今年1月に日本人を対象としたフェーズ1試験の途中経過が発表されている。米国における試験結果の発表は初めてとなる。

 今回のフェーズ1試験は、NK012の容量制限毒性最大耐量を決定し、フェーズ2での推奨用量を決めるため、また、臨床的な薬物動態、抗腫瘍効果を確認するために行われた。

 投与方法は国内でのフェーズ1試験と同様で、3週おきに前投薬なしで30分かけて静脈内投与した。イリノテカンの副作用の発現に関与しているといわれるUGT1A1遺伝子多型のスクリーニングを患者登録前に行い、UGT1A1*28/*28ホモ接合体を持つ患者に対しては、毒性を考慮して減量投与された。

 投与対象は、既に他の治療を受けた進行性固形癌で臓器機能が許容できる患者32人(男性9人、女性23人)。平均年齢は60.5歳(40−78歳)だった。32人の癌種の内訳は、非小細胞肺癌9人、乳癌6人、大腸癌4人、食道癌胃癌卵巣癌小細胞肺癌がそれぞれ2人などだった。NK012投与の前にイリノテカンによる治療を受けていたのは3人で、すべて大腸癌の患者だった。

 現時点で、23人の患者は9−37mg/m2まで6段階の用量レベルで、トータル100サイクルの治療を受けている。9人の*28/*28ホモ接合体の患者は4.5-18.5mg/m2までの4段階の用量レベルで治療を受けた。

 用量制限毒性(DLT)については、服用レベル4(21mg/m2)まではDLTはみられなかったものの、服用レベル5(28mg/m2)では、6人のうち1人の患者に7日間以上続くグレード4の好中球減少を認めた。さらに、服用レベル6(37mg/m2)では、5人のうち2人に治療を延期せざるを得ないグレード3の好中球減少がみられた。

 治療による毒性は血液学的なものが多く、グレード3/4の好中球減少が8人/7人にみられ、血小板減少が2人/1人にみられた。長引く好中球減少によって次のサイクルを延期することになった患者は6人いた。胃腸への毒性はこれまで報告されていない。

 抗腫瘍効果は、部分奏効(PR)が4人、安定状態(SD)が16人(7人が4サイクル以上)、病状の進行(PD)がみられたのが9人、2人は評価できず、1人は評価するには早すぎた。部分奏効が得られた4人の内訳は、トリプルネガティブ乳癌2人、10種類の薬物治療歴のある乳癌1人、小細胞肺癌1人だった。

 今回の結果から、NK012は十分な忍容性があることが確認された。さらに、フェーズ1の段階でトリプルネガティブ乳癌などの難治性癌に抗腫瘍効果を示したことで、臨床的な面からも高い効果が期待されている。

 次のフェーズ2試験では、NK012の推奨量は28mg/m2とし、3週間おきに30分かけて静脈内投与することが推奨されることになった。イリノテカンへの感受性を持つ腫瘍タイプの患者を対象に実施する予定だという。