イタリアModena大学病院血液腫瘍科のAntonio Frassoldati氏

 ステージ2/3aの閉経後乳癌患者に対するレトロゾールを基本とした術前療法(ネオアジュバント)は、腫瘍縮小に有効である可能性が示唆された。レトロゾールとラパチニブの併用効果について検討している無作為化第2b相試験「LET-LOB」の中間成績として報告されたもので、イタリアModena大学病院血液腫瘍科のAntonio Frassoldati氏らが、5月30日から6月3日まで米シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)で発表した。

 腫瘍細胞におけるHRとEGFR/HER2のクロストークは、アロマターゼ阻害薬に対する抵抗性獲得の原因のひとつであると考えられている。ラパチニブはEGFRとHER2のチロシンキナーゼ阻害活性を有する経口分子標的薬であり、HR陽性HER2陰性乳癌に対し、ホルモン療法と併用することで、エストロゲンによる増殖シグナルが絶たれた後のEGFR/HER2経路の活性化を抑制する可能性が考えられ、治療効果の向上が期待される。

 LET-LOB試験はHR陽性/HER2陰性の手術可能な閉経後乳癌患者(ステージ2/3a)を対象とする二重盲検比較試験である。対象患者はネオアジュバント療法として、レトロゾール(2.5mg/日)+ラパチニブ(1500mg/日)併用群、またはレトロゾール(2.5mg/日)+プラセボ群のいずれかに無作為に割り付けられた。

 治療期間は24週間で、主要評価項目は超音波による奏効率、副次的評価項目は安全性や分子マーカーの変化などである。超音波による腫瘍サイズとLVEFは、ベースラインと12週後、24週後に評価された。

 試験は進行中である。現在までに22例がネオアジュバント治療を終了し、3例が試験から脱落した(病勢進行1例、副作用1例、患者理由1例)。

 治療が終了した22例における超音波による評価では、治療前の腫瘍サイズが2.88cm(中央値;2-6cm)だったに対し、3カ月後には1.93cm(0-4.5)、6カ月後には1.54cm(0-4.5)に縮小した。

 全25例において虚血性心疾患の発症はなく、心エコー検査による12週後・24週後の平均左室駆出率(LVEF)は、治療前における平均LVEFと比べて有意な変化は認めなかった。主な副作用は、皮疹、下痢、無力症、関節痛であったが、いずれもグレード1/2の軽微なものであった。

 以上からFrassoldati氏らは、「ステージ2/3aの閉経後乳癌患者に対するレトロゾールを基本とするネオアジュバント療法は、腫瘍縮小に有効であり、忍容性も良好であることが示唆された。ラパチニブ併用効果については、今後の試験進行後の解析から明らかになると期待される」と結論した。