ベルギーUniversity Hospital GasthuisbergのEric Van Cutsem氏

 抗上皮細胞成長因子受容体抗体セツキシマブ転移性大腸癌を対象にしたファーストライン治療野生型KRAS遺伝子を発現していることが明らかとなった。セツキシマブのファーストラインとしての効果を検証した大規模フェーズ3臨床試験CRYSTAL試験の解析の結果、示されたもの。

 CRYSTAL試験では、既に転移性大腸癌において、セツキシマブとFOLFIRIレジメンの併用が有効であることが証明されていたが、今回の解析の結果、効果がより高く得られる患者を同定できることになる。成果は5月30日から6月3日にシカゴで開催された米国臨床腫瘍学会ASCO)のプレナリーセッションで、ベルギーUniversity Hospital GasthuisbergのEric Van Cutsem氏によって発表された。

 CRYSTAL試験は、EGFRを発現している転移性大腸癌患者を対象に、ファーストラインとして、セツキシマブとFOLFIRIレジメンを投与される群とFOLFIRIレジメンのみを投与される群を比較した大規模フェーズ3臨床試験。1198人の患者が参加した結果、無増悪生存期間中央値がセツキシマブ-FOLFIRI群が8.9カ月、FOLFIRIのみの群が8.0カ月、1年無増悪生存率がセツキシマブ-FOLFIRI群が34%、FOLFIRIのみの群が23%だった。奏効率はセツキシマブ-FOLFIRI群が47%、FOLFIRIのみの群が39%だった。

 Eric Van Cutsem氏らは、このCRYSTAL試験の結果に対し、KRAS遺伝子の変異の有無でレトロスペクティブな解析を行った。ゲノムDNAを保存されていた腫瘍組織から取り出し、コドン12/13のKRAS遺伝子の変異の状態を、定量PCRをベースにした測定法で解析した。

 1198人の検体のうち、587検体を解析にかけ、KRASの評価が可能だった540人について調べたところ、64.4%に当たる348人はKRAS遺伝子が野生型で、35.6%に当たる192人ではKRASに変異があった。野生型でセツキシマブとFOLFIRIの投与を受けたのは172人、FOLFIRIのみが176人。変異型でセツキシマブとFOLFIRIの投与を受けたのは105人、FOLFIRIのみが87人だった。

 KRASが野生型の患者では、無増悪生存期間中央値が、セツキシマブとFOLFIRIの投与群で9.9カ月、FOLFIRIのみが8.7カ月だった。1年無増悪生存率はセツキシマブとFOLFIRIの投与群で43%、FOLFIRIのみが25%だった。ハザード比は0.68だった。

 一方変異型の患者では無増悪生存期間中央値が、セツキシマブとFOLFIRIの投与群で7.6カ月、FOLFIRIのみが8.1カ月だった。ハザード比は1.07だった。

 奏効率は、野生型ではセツキシマブとFOLFIRIの投与群で59%、FOLFIRIのみが43%だったのに対し、変異型では、セツキシマブとFOLFIRIの投与群で36%、FOLFIRIのみが40%だった。

 なおグレード3/4の副作用は、野生型と変異型の患者の間で大きな差はなかった。

 Van Cutsem氏は、「変異型患者の場合、ベバシズマブなどを利用することが適切」とコメントした。