腫瘍細胞におけるmTORの活性化はホルモン感受性修飾に関連し、経口mTOR阻害剤RAD001エベロリムス)は、レトロゾールなどのアロマターゼ阻害剤との併用により抗腫瘍効果を高めると期待される。スペイン・バルセロナVall D’Hebron病院のJose Baselga氏らは、米シカゴで5月30日〜6月3日に開催された米国臨床腫瘍学会で、閉経後乳癌に対するネオアジュバント療法として、レトロゾールとRAD001併用を検討した無作為化第2相試験の成績を報告した。

 対象は、ER陽性、未治療、M0、腫瘍2cm以上の閉経後乳癌患者であり、条件に合致する270例を、無作為にレトロゾール(2.5mg/日)+RAD001(10mg/日)併用群(138例)もしくはレトロゾール(2.5mg/日)+プラセボ併用群(132例)に割り付け、いずれも16週間投与後に手術施行とした。

 その結果、臨床的奏効(CR+PR)率は、プラセボ併用群が59.1%に対して、RAD001併用群では68.1%であり、両群間の差は事前に規定した片側chi-square検定の有意水準であるα0.1に達した(p=0.062)。この結果は、超音波検査でも確認された(プラセボ併用群47.0%、RAD001併用群58.0%:p=0.035)。

 この試験では、治療開始後15日目に生検を実施し、バイオマーカーのベースラインからの変化についても検討された。その結果、レトロゾール投与によりプロゲステロン受容体およびサイクリンD1が著明に低下し、さらにRAD001の併用により、リン酸化S6が著明に低下することが明らかとなった。また、Ki67を指標に細胞増殖の変化を調べたところ(n=173)、レトロゾールにRAD001を併用することにより、レトロゾールとプラセボ併用群に比べ、細胞増殖抑制効果の認められた割合が有意に向上した(p<0.01)。

 RAD001併用群ではグレード3/4の副作用発現率がプラセボ群に比べ増大した。しかし、多くは減量もしくは中止により改善可能であった。RAD001併用群における主なグレード3/4の副作用は、高血糖(7例、5.1%)、胃炎(3例、2.2%)、肺炎(3例、2.2%)、感染(3例、2.2%)などであった。

 以上からBaselga氏らは、「レトロゾールとRAD001の併用は臨床的奏功率を向上させ、安全性も許容範囲かつ従来の報告と同等であった。今後、さらなる検討により、この併用療法の有用性が示されるものと期待される」と結論した。