オランダRadboud University Nijmegen Medical CentreのCornelis J Punt氏

 切除不能結腸直腸癌において、カペシタビンオキサリプラチン抗VEGF抗体製剤ベバシズマブに、さらに抗EGFR抗体製剤セツキシマブを併用投与すると、併用投与しなかった場合に比べ、全生存期間は変わらないが、無増悪生存期間は短くなってしまうことが、無作為化フェーズ3臨床試験CAIRO2で明らかになった。成果は5月30日から6月3日にシカゴで開催されている米国臨床腫瘍学会ASCO)で、オランダRadboud University Nijmegen Medical CentreのCornelis J Punt氏らが報告した。

 CAIRO2試験では、未治療で切除不能の結腸直腸癌患者755人を、カペシタビンとオキサリプラチン、ベバシズマブを投与する群(A群)と、カペシタビンとオキサリプラチン、ベバシズマブにセツキシマブを追加投与する群(B群)に無作為に割り付けた。追跡期間の中央値は18.7カ月だった。

 分析が可能だったA群(368人)の無増悪生存期間は中央値で10.7カ月(95%信頼区間:9.7-12.5)に対し、セツキシマブを追加したB群(368人)は9.6カ月(同 8.5-10.7)と有意差が示された(p=0.018)。しかし全生存期間はそれぞれ20.4カ月、20.3カ月と有意な違いはなく(p=0.21)、奏効率はともに44%だった。

 グレード3/4の有害事象は、全体ではA群72%に対し、B群では82%と高く(p=0.0013)、下痢がそれぞれ19%、26%(p=0.026)だった。血液毒性はともに2%だった。皮膚毒性はB群で有意に多く、にきび様の皮膚症状が全グレードでA群は4%、B群84%、グレード3ではA群は0.5%に対し、B群は25%だった。爪の変化も全グレードではA群で13%、B群 32%、グレード3ではA群で0.3%、B群では4%にみられた。

 皮膚毒性はセツキシマブの効果予測因子として知られているが、今回の分析でも、皮膚毒性のグレードが高いほど、無増悪生存期間も有意に延長することが示された(p=0.01)。

 またもう一つの効果予測因子であるKRAS遺伝子を調べたところ、無増悪生存期間はKRAS野生型ではA群が10.7カ月、B群10.5カ月と類似した結果だが、変異型ではA群が12.5カ月、セツキシマブを追加したB群は8.6カ月と有意に短いことが示された(p=0.043)。

 理論的には、上皮増殖因子受容体(EGFR)と血管内皮増殖因子(VEGF)を共に阻害することにより、相加的な効果が期待されている。実際、イリノテカン抵抗性結腸直腸癌において、イリノテカン、セツキシマブ、ベバシズマブの併用は、イリノテカンとセツキシマブ併用に比べ有効性が高いことが、無作為化フェーズ2臨床試験BOND試験で報告されている。

 一方、切除不能な転移性結腸直腸癌の初回治療として、オキサリプラチンをベースにした化学療法(FOLFOXなど)あるいはイリノテカンベースの化学療法(FOLFIRIなど)と、ベバシズマブ、抗EGFR抗体製剤パニツムマブを加えたPACCE試験では、中間解析の結果、パニツムマブを加えない群の方が毒性は低く、無増悪生存が良好だったことが示され、試験は中止されている。

 ディスカッサントとして登壇したMD Anderson Cancer CenterのCathy Eng氏は、CAIRO2試験およびPACCE試験の結果を踏まえ、「EGFRとVEGFを阻害する生物学的療法の併用は、奏効率や生存期間への上乗せ効果はなく、無増悪生存期間の延長も期待できない」とした。


【訂正】タイトル、本文中で、「進行性の結腸直腸癌」などと記述していましたが、日本では「進行大腸癌」は通常、早期癌を指すという指摘がありましたので、明確化のため、上記のように「切除不能な結腸直腸癌」などと変更しました。