東京慈恵会医科大学産婦人科の磯西成治氏

 進行性の卵巣癌に対するランダム化比較試験フェーズ3において、世界的な標準治療となっているConvention TCc-TC)療法と比べ、パクリタキセルの1回投与量を減らして投与回数を増やすDose-Dense TCdd-TC)療法で、無増悪存期間PFS)を10カ月以上延長できることが明らかになった。5月30日から米シカゴで開催されている米国臨床腫瘍学会ASCO)の一般口演で、東京慈恵会医科大学産婦人科の磯西成治氏が発表した。

 c-TC療法は、パクリタキセル180mg/m2カルボプラチンAUC6.0を3週ごとに投与し、6回以上の投与を目標とする療法で、術後の卵巣癌に対する世界的な標準治療となっている。一方、dd-TC療法は、カルボプラチンAUC6.0を3週ごとに投与するのに加え、パクリタキセル80mg/m2の投与を毎週にして18回以上投与を目標とする療法だ。

 対象は、ステージ2〜4の上皮性卵巣癌卵管癌腹膜癌の術後患者(残存病変:≦1cm、>1cm)。c-TC群とdd-TC群に無作為に割り付け、比較検討した。両群とも6サイクル(1サイクル=21日)を実施し、臨床的な効果が確認された症例については3サイクルまで追加した。

プライマリエンドポイント無増悪生存期間PFS)、セカンダリーエンドポイント全生存期間(OS)奏効率(RR)有害事象QOLとした。

 c-TC療法群319人とdd-TC療法群312人の患者背景は、年齢(平均値)がともに57歳、FIGOstage(2、3、4)がそれぞれ(17%、67%、16%)、(20%、65%、15%)。癌種の内訳は、上皮性卵巣癌(c-TC療法群87%、dd-TC療法群83%)、卵管癌(6%、5%)、腹膜癌(8%、12%)、PSは0-1がともに90%など、両群で患者背景に有意な差はなかった。

 結果は、無増悪生存期間の平均値はc-TC療法群が17.2カ月だったのに対し、dd-TC療法群は28.0カ月と、有意に延長がみられた(95%信頼区間:0.581-0.879、p=0.0014)。またOSについては現在追跡中だが、2年間の生存率は、c-TC療法群の77.7%に対しdd-TC療法群は83.6%と高かった(p=0.0496)。奏効率(CR+PR)は、53%と56%で有意差はなかった(p=0.72)。

 6サイクル以上の治療を実施できたのは、c-TC療法群で72%、dd-TC療法群で60%。グレード3/4の有害事象は、血液学的なものが圧倒的に多く、好中球減少(c-TC療法群80%とdd-TC療法群92%)、血小板減少(同38%、44%)などは両群で差がなかったものの、貧血(44%、69%)はdd-TC療法群で有意に高かった(p<0.0001)。

 QOLについては現在解析中だが、磯西氏は、「実感としては両群で変わらないだろう」と話している。

 dd-TC療法は、現在の世界的標準治療と使用する薬剤は同一で投与方法だけを変えた治療法であり、臨床現場からみてもすぐに取り入れやすい。埼玉医大国際医療センター婦人科腫瘍科教授の藤原恵一氏は、「今回の結果で国内のガイドラインには影響を与えるだろう。ただ、世界的に標準治療を変えるためには、同様の試験をもう1本走らせて結果を出すことが必要であり、現時点では難しいのかもしれない」と話している。