オーストリア・ウイーン医科大学のMichael Gnant氏

 ビスホスホネート剤ゾレドロン酸は、癌の骨転移における骨関連事象を予防するだけでなく、腫瘍細胞アポトーシス誘導、血管新生抑制、骨基質に対する細胞接着の阻害、抗腫瘍免疫の賦活化など、腫瘍増殖・転移の抑制に寄与する多様な機序が示唆されている。

 オーストリア・ウイーン医科大学のMichael Gnant氏は、6月1日に行われた米国臨床腫瘍学会ASCO)のプレナリーセッションにおいて、閉経前ホルモン感受性乳癌患者を対象としたABCSG-12試験の成績を報告し、アジュバント療法としてゴセレリンタモキシフェン(TAM)もしくはアナストロゾール(ANA)の併用を検討したが、このときゾレドロン酸を併用すると、無病生存(DFS)や無再発生存(RFS)が、非併用群に比べ、有意に改善することを明らかにした。

 ABCSG-12試験では、ステージ1/2のホルモン感受性(ER陽性もしくはPgR陽性)の閉経前乳癌患者1803例を対象とし、手術および放射線治療後、アジュバント・ゴセレリン療法と併用での、(1)TAM単独群(452例)、(2)TAM+ゾレドロン酸併用群(449例)、(3)ANA単独群(450例)、(4)ANA+ゾレドロン酸併用群(449例)のいずれかに無作為に割り付けた。

 各治療薬の投与量は、TAM20mg/日、ANA1mg/日、ゾレドロン酸4mg/6カ月、治療期間は3年間であった。追跡期間中央値は60カ月、主要評価項目はDFS、副次評価項目としてRFS、全生存(OS)、安全性について評価した。

 その結果、5年後のDFSは94%、OSは98.2%と良好であり、TAMとANAの比較では、DFS、RFS、OSが同等で有意差は認められなかった。

 一方、ゾレドロン酸併用の有無に関する検討では、ゾレドロン酸非併用群に比べ、併用群においては再発リスクの有意な減少が認められた(DFSで36%、RFSで35%)。ゾレドロン酸併用により、局所再発、遠隔転移、対側乳癌のリスクが低下することが示唆された。またOSについては、有意差はなかったものの改善傾向が認められた。治療の忍容性に問題はなかった。

 以上からGnant氏は、「閉経前ホルモン反応性乳癌患者に対し、術後ホルモン療法にゾレドロン酸を追加することによって、予後が改善することが示された。現在進行中の他の臨床試験から、その最適な用量・投与スケジュールが明らかになると予想される。今後、閉経前術後乳癌治療にゾレドロン酸を積極的に組み入れることが望まれる」と結論した。