米University of Kansas Medical CenterのQamar J. Khan氏

 術後療法としてアロマターゼ阻害剤を服用する閉経後乳癌患者のおよそ半数は関節の痛みこわばりを経験しており、19〜24%は倦怠感を伴うと報告されている。また筋骨格系の有害事象により、乳癌患者がアロマターゼ阻害剤の服用を遵守しないことは珍しくない。

 米University of Kansas Medical CenterのQamar J. Khan氏らは、レトロゾールによるアジュバント療法が適応の閉経後乳癌患者を対象として、高用量ビタミンD3投与による関節痛・倦怠感の改善効果について前向きに検討した。成果は、米シカゴで5月30日から開催されている米国臨床腫瘍学会ASCO)で報告した。

 対象は、レトロゾールによるアジュバント療法が適応であるステージ1〜3の浸潤性乳癌患者60例である。平均年齢56歳、BMI中央値27kg/m2、白人49例、黒人5例、ヒスパニックおよびアジア人が6例であった。

 レトロゾール投与開始時より、標準的なカルシウム(1200mg/日)およびビタミンD(600IU/日)補給を行い、さらに、治療前における血清25-ヒドロキシビタミンD(25-OHD)値が40ng/mL以下だった患者では4週後から高用量ビタミンD3製剤(50000IU/週)に切り替え、12週後まで継続した。これらの患者における、血清25-OHDの変化、さらに、患者アンケートによる倦怠感(BFIスコア)、関節痛による障害(HAQ IIスコア)、関節の疼痛スコアの変化について、治療前から16週後まで検討した。

 試験の結果、高用量ビタミンD3投与を受けた患者においては、治療前に比べ10週後・16週後において著明な血清25-OHDの上昇が認められた。一方、標準的なカルシウム+ビタミンDのみが投与された患者では、治療前に比べ、10週後・16週後において血清25-OHDはむしろ低下傾向を示した。

 関節痛による障害スコア、倦怠感スコアは、いずれも4週後まで悪化傾向を示したが、4週後から16週後には有意な改善を示した。4週後から16週後において倦怠感スコアが改善した患者は55%、不変が9%、悪化が36%であった。また、関節痛による障害スコアは、改善が21%、不変が47%、悪化が32%であった。また、関節の疼痛スコアがBMIと正の相関を示し、血清レトロゾール値とは負の相関を示すことも明らかとなった。

 Khan氏らは、「閉経後乳癌患者の64%は、レトロゾール療法を開始する時点でビタミンD不足(25-OHD<32ng/mL)であった。特に、このような例では高用量ビタミンD3が有用と考えられ、レトロゾール投与開始に伴って悪化し得る倦怠感・関節痛に対する改善が期待できる」と結論した。