米国MDアンダーソン癌センターのElias Jabbour氏

 副作用が原因でイマチニブグリベック)投与中止となった患者を、新規チロシンキナーゼ阻害薬であるニロチニブへ切り替えた場合、同じ副作用を生じて再び投与中止となることは比較的稀であった。本試験結果からニロチニブは、イマチニブ抵抗性例のみならず、不耐容例についても高い臨床的有用を兼ね備えることが確認された。この重要な知見は、米国MDアンダーソン癌センターのElias Jabbour氏により、米シカゴで開催されている米国臨床腫瘍学会ASCO)のポスターセッションで5月31日に発表した。

 フィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病CML)患者に対する第一選択薬として、イマチニブがその位置付けを確立している。さらに最近では、イマチニブ抵抗性例にも有効な第2世代のABLチロシンキナーゼ阻害剤が多数開発され、そのひとつとして注目されるニロチニブが、欧米で既に臨床応用されている。

 同薬の海外第2相臨床試験では、イマチニブ抵抗性または不耐容のCML患者を対象として、ニロチニブが12カ月間にわたり投与された。

 ちなみに、本試験で定義される「不耐容」とは、MCyR以上の効果を認めず、その上でグレード3〜4の副作用を生じたか、もしくはグレード2の副作用が1カ月以上継続したために、投与中止を余儀なくされたものである。これは、第2世代チロシンキナーゼ阻害剤を用いた他の臨床試験に比べて、より厳格な登録基準といえる。

 第2相試験の中には、そうしたイマチニブ不耐容例が122症例ほど含まれていた。これらのうち、ニロチニブへの切り替え時において移行期にあったものが27例(開始時AP群)、慢性期を維持していたものが95例(開始時CP群)であった。

 イマチニブとニロチニブは同様の作用メカニズムを有することから、イマチニブ不耐容例をニロチニブへ切り替えた場合に、同じ副作用が繰り返されるのではないかと懸念された。そこで演者らは、今回のサブ解析を試みた。

 結果として、CP群における非血液毒性(グレード3〜4および持続するグレード2)は、イマチニブ投与下の57例(皮疹や浮腫などが中心)から、ニロチニブ投与下では4例に減少した。AP群における非血液毒性も、薬剤変更によって15例から0例へと減少した。

 血液学的毒性についても、同じ傾向が認められた。すなわち、CP群における血液学的毒性(グレード3〜4および持続するグレード2)は、薬剤変更によって32%から20%へ、AP群では33%から15%へと減少した。加えて、ニロチニブ中止(不耐容)となるような副作用は、血小板減少の7例以外には認められなかった。

なお、本サブ解析における臨床効果(CHR・MCyR・CCyR)は、CP群で90%・63%・49%、AP群では、37%・32%・19%に認められた。本試験の厳しい登録基準にもかかわらず、こうした成績が得られたことから、ニロチニブにはセカンドライン治療薬としての高い有効性が示された。

 以上のことからニロチニブは、イマチニブ不耐容例に対しても、有効かつ安全な治療選択肢であると考えられた。


【用語】CHR:血液学的完全寛解、MCyR:細胞遺伝学的大寛解、CCyR:細胞遺伝学的完全寛解