第2世代のABLチロシンキナーゼ阻害薬であるニロチニブを用いて、早期慢性期慢性骨髄性白血病CML)患者の初回治療が試みられている。少数例の検討ながら、第1世代のイマチニブグリベック)を超える成績が期待される。GIMEMA CML working partyを代表して、伊ボローニャ大学のGianantonio Rosti氏が、米シカゴで開催されている米国臨床腫瘍学会ASCO)のポスターセッションで5月31日に中間発表を行った。

 慢性期のCMLにおいては、近年まで同種造血幹細胞移植が治療の第一選択とされてきた。しかしながら現在では、BCR-ABLを標的としたイマチニブが、それに取って代わっている。
早期慢性期CMLの初回治療にイマチニブを用いたIRIS試験から、大変に優れた6年時の成績が報告され、もはや海外ガイドラインでも、イマチニブを第一選択とすることに異論を唱えてはいない。

 しかしながら、イマチニブといえども、一定の割合で耐性を生じることが避けられない。そこで、イマチニブ以上の選択性と結合力を併せ持つ新規のABLチロシンキナーゼ阻害薬「ニロチニブ」が開発された。既に欧米では、イマチニブ抵抗性、または不耐容例のセカンドラインとして、これが認可されている。

 イマチニブ以上の選択性と結合力を併せ持つならば、ニロチニブで初回治療を始めることも、当然ながら検討されるべきであろう。そうした臨床試験が、いよいよイタリアで始まった。

 GIMEMA CML working partyが計画・実施する当該研究は、多施設共同オープンラベル非対照試験として、2007年6月から症例登録が開始され、1年間の短期効果が追跡中である。

 対象は、早期慢性期CMLの73例(18〜83歳、中央値51歳)、Sokal RiskはLow 53%、Intermediate 34%、High 13%である。これらに対して、ニロチニブ400mgの1日2回投与が行われ(現中央値794mg/日)、今回集計時点で中央値200日の追跡が進行中である。

 結果として、治療開始3カ月後のCCyRは84%、同6カ月後のCCyRは97%と極めて良好であり、これはIRIS試験のイマチニブ成績(3カ月後25%、6カ月後51%)と比べて急峻な立ち上がりであった。

 なお、本試験でのMMR(末梢血BCR-ABL/ABL比×100<0.1 IS.)は、3月後62%、6カ月後75%であり、これも非常に優れた成績だと考えられる。

 一方、安全性評価では、グレード3の血液学的副作用血小板数減少として2.7%、好中球数減少として2.7%、同グレード4の副作用が血小板数減少として1.3%の発生にとどまり、また、特記すべき非血液学的有害事象としては、心電図上にて2例のQT延長を認めるのみであった。

 以上のことから、第2世代が第1世代を凌駕する可能性が十二分に示唆される。近い将来に実施されるであろうファーストラインとしての大規模長期試験が、実に待ち遠しい限りである。


【用語】 CCyR:細胞遺伝学的完全寛解、MMR:分子遺伝学的効果