米ファイザー社のSubramanian Hariharan氏

 マルチキナーゼ阻害剤スニチニブは、脳転移のある転移性腎細胞癌においても安全に使用でき、抗腫瘍効果も認められることが、スニチニブの安全性有効性を確認する国際的オープンラベル拡大臨床試験EXPANDED ACCESS試験)のサブ解析で明らかになった。成果は5月30日から米シカゴで開催されている米国臨床腫瘍学会ASCO)で、米ファイザー社のSubramanian Hariharan氏らが報告した。EXPANDED ACCESS試験の全体的な結果は昨年のASCOで発表されているが、今回のサブ解析で、脳転移を有した患者に対してもスニチニブを選択できることが確認されたことになる。

 試験はスニチニブ1日50mgを4週間投与、2週間休薬の6週間サイクルで行われた。2007年12月までに4622人が登録し、このうち解析可能だった4185人では、脳転移が313人(7%)に認められた(脳転移群)。このうち男性は74%を占め、平均年齢は58歳。前治療は、腎摘出が89%、サイトカイン療法が75%だった。

 脳転移群の治療期間中央値は4.4カ月で、この間にスニチニブを減量したのは116人(37%)、投与中止が274人(88%)で、中止した理由としては「効果がない」が33%、「有害事象」が9%だった。一方、患者全体では、治療期間中央値7.4か月において、減量したのは45%、投与中止は71%だった。

 安全性については、主なグレード3/4の治療関連有害事象が、脳転移群で、倦怠感7%、無力性6%、吐き気高血圧手足症候群下痢がそれぞれ3%で、患者全体の結果に比べても、発生率はほぼ類似した結果となった。

 血液学的毒性では、脳転移群でグレード3/4の血小板減少症5%、好中球減少症4%、貧血4%が見られ、患者1人にグレード1/2の脳出血が認められた。また4人で痙攣が、1人で部分発作があったが、それらの症状は投与前から認められていた可逆的後白質脳症によるものと考えられた。

 有効性については、脳転移群(209人)で、部分奏効が12%、3カ月以上の安定状態が53%、一方、患者全体(3345人)では部分奏効が16%、安定状態が59%であり、クリニカルベネフィットはそれぞれ65%、76%だった。

 患者全体の無増悪生存期間の中央値は10.8カ月。前治療として、サイトカイン療法を受けていた人のうち、脳転移のある群(235人)と脳転移のない群(2688人)で比較したところ、無増悪生存期間の中央値はそれぞれ5.6カ月、11.0カ月と有意な違いが見られた(p<0.0001)。またサイトカイン療法を受けていない人でも、脳転移群(75人)では5.3カ月に対し、脳転移のない群(1176人)は11.3カ月と有意差が認められた(p=0.0009)。

 生存期間の中央値は、脳転移群(313人)で9.5カ月、患者全体(4185人)では19.8カ月だった。またサイトカイン療法を受けていた人では、脳転移群が9.2カ月、脳転移のない群では20.8カ月、サイトカイン療法を受けていない人でも、脳転移群は11.5カ月、脳転移のない群は18.2カ月だった。

 これらの結果から、脳転移のある転移性腎細胞癌におけるスニチニブ投与は、「安全性プロファイルは試験全体の患者の結果を反映している」とし、有効性に関しては、脳腫瘍の有無で、抗腫瘍効果および無増悪生存期間に違いが見られたが、脳転移のある患者でも奏効率は高く、生存期間も「既報告に比べて良好な結果である」としている。