米Memorial Sloan-Kettering Cancer CenterのRobert J. Motzer氏

 mTOR阻害剤であるエベロリムスRAD001)が、他の分子標的薬が有効でなかった進行腎細胞癌を対象にしたフェーズ3臨床試験で、無増悪生存期間PFS)を対照に比べて延長できることが明らかとなった。試験結果の詳細は5月30日からシカゴで開催されている米国臨床腫瘍学会ASCO)で米Memorial Sloan-Kettering Cancer CenterのRobert J. Motzer氏によって発表された。

 エベロリムスは経口投与される製剤で、癌細胞の細胞分裂や血管成長を調節するmTORを阻害する。疾患増悪のリスク低減を確認したフェーズ3臨床試験は、RECORD-1(REnal Cell cancer treatment with Oral RAD001 given Daily)と呼ばれている。中間解析でプラセボ投与群に比べて有意にPFSの延長が確認されたことから、有効中止となった。

 臨床試験はスニチニブソラフェニブの少なくとも1剤で治療後、病状が悪化した淡明細胞腎細胞癌患者を対象に行われた。支持療法に加えてエベロリムスを1日当たり10mg投与された272人とプラセボを投与された138人を比較した。

 投与6カ月後の時点で、エベロリムスを投与された患者の26%は病状が進行していなかったのに対して、プラセボを投与された患者で病状が進展していなかったのは、わずか2%だった。PFS中央値は、プラセボ群が1.9カ月だったのに対してエベロリムス群は4.0カ月で、進行するリスクを70%減少させた(ハザード比=0.30、95%信頼区間:0.22-0.40、p<0.0001)。

 このリスクは、MSKCC Risk 分類*1、前治療の薬の種類/数、年齢、性別、地域(地理)によらず、すべてのグループでエベロリムス群がプラセボ群に対して有意に低く、エベロリムスの有効性が確認された。また、エベロリムス投与群では、部分奏効が3人(1%)、安定状態が171人(63%)に認められた。

 多く見られた治療関連有害事象は、非血液学的なものでは口内炎(エベロリムス群40%、プラセボ投与群8%)、無力症/倦怠感(エベロリムス群37%、プラセボ群24%)などだった。グレード3の重篤な副作用の事例は、それぞれの副作用について3%以下だった。血液学的な副作用は貧血(エベロリムス群91%、プラセボ群76%)、高コレステロール血症(エベロリムス群76%、プラセボ群32%)などだった。

 これらの結果からMotzer氏は、「エベロリムスは、VEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤(VEGFr-TKI)治療後に臨床的な有用性が示された薬剤としては最初かつ唯一の薬剤であり、そのような状況における標準治療となるべき」と結論した。


*1 MSKCC Risk分類:Memorial Sloan-Kettering Cancer. Center が作成したリスク分類