写真1 国際共同臨床試験SHARPのフェーズ3の結果を発表するLlovet氏

 腎細胞癌で治療効果が確認されているソラフェニブが、肝細胞癌患者の生存期間をプラセボ群に対して44%延長することが報告された。国際共同臨床試験SHARPのフェーズ3で明らかになったもので、米国Mount Sinai医大のJosep Llovet氏(写真)が6月4日、第43回米国臨床腫瘍学会のプレナリーセッションで発表した。

 SHARP(Sorafenib HCC Assessment Randomized Protocol)は、米国や欧州、オーストラリアなどで行われているプラセボ対照二重盲検試験で、肝細胞癌患者を対象にソラフェニブの治療効果を明らかにすることを目的とする。

 今回報告されたフェーズ3試験は、全身投与薬による治療歴のない肝細胞癌患者602人を対象に、ソラフェニブ群(299人)とプラセボ群(303人)に無作為に割り付け比較検討した。ソラフェニブ群とプラセボ群の患者背景は、年齢(中央値)が65歳と66歳、男性/女性が87%/13%と87%/13%、地域(欧州/北米/その他)が88%/9%/3%と87%/10%/3%などと、両群で有意な差はなかった。

 ソラフェニブ群ではソラフェニブ400mgを1日2回投与され、一方のプラセボ群では偽薬を1日2回投与された。

 2006年10月17日時点で、死亡例が321例(ソラフェニブ群143例、プラセボ群178例)に達した。その後の中間解析では、ソラフェニブ群で全生存期間の延長が確認されたことから、効果安全性委員会の勧告を受け、2007年2月に試験は早期終了となった。

 試験の結果、第一次エンドポイントである全生存期間(中央値)は、ソラフェニブ群が46.3週(10.7カ月、95%信頼区間;40.9-57.9)で、プラセボ群が34.4週(7.9カ月、95%信頼区間;29.4-39.4)だった。ソラフェニブ群のプラセボ群に対するハザード比は、0.69(95%信頼区間;0.55-0.88、p=0.00058)。この結果、ソラフェニブ群はプラセボ群に対して、肝細胞癌患者の生存期間を44%延長したことが確認された。

 もう1つの第一次エンドポイントである増殖抑制時間(中央値)は、ソラフェニブ群が24.0週(5.5カ月、95%信頼区間;18.0-38.0)で、プラセボ群が12.3週(2.8カ月、95%信頼区間;11.7-17.1)だった。ソラフェニブ群のプラセボ群に対するハザード比は、0.58(95%信頼区間;0.44-0.74、p=0.000007)だった。この結果、ソラフェニブ群はプラセボ群に対して、肝細胞癌患者の増殖抑制時間を73%延長したことが確認された。

 なお、有害事象は、ソラフェニブ群(297人、2例脱落)で13%に、プラセボ群(302人、1例脱落)で9%に、それぞれ確認された。主なものは、ソラフェニブ群では下痢39%(プラセボ群11%)、手足皮膚反応21%(同3%)などで、食欲不振や脱毛症もそれぞれ14%(同3%、2%)に見られた。

 グレード3/4の有害事象は、ソラフェニブ群ではグレード3の下痢が8%(プラセボ群2%)、グレード3の手足皮膚反応が8%(同2%)などだったが、いずれもコントロール可能なものだった。

 発表に立ったLlovet氏は、「ソラフェニブは、肝細胞癌患者の生存期間を有意に延長することが証明できた初めての治療法であり、肝細胞癌に対する最初の標準治療となるものである」と結論した。