写真1 CML治療におけるイマチニブの血中濃度モニタリングの意義を示したMahon氏

 CML治療のみならず、薬剤による治療において薬物動態学的な検討を行うことは、最適な臨床効果を得る上で重要である。そこで、フランスVictor Segalen大学のF.Mahon氏(写真)らが、イマチニブ血中濃度トラフ値と臨床効果の関係について検討を行ったところ、トラフ値を1002ng/mL以上に保つことの意義が示された。6月4日、第43回米国臨床腫瘍学会で発表された。

 演者らは、イマチニブを少なくとも1年以上投与したCML患者68例中、3Log低下以上の分子遺伝学的寛解(MMR群:Major molecular response group)を認めた34例における血中イマチニブ濃度を、高速液体クロマトグラフ質量分析法で分析したところ、トラフ値が、1452±649ng/mLと測定された。本トラフ値は、in vitroにてイマチニブが十分な殺細胞作用を示す濃度の493.6ng/mL(1μM)よりも、高いレベルだった。

 MMR未到達群34例も同様に分析したところ、トラフ値は869±427ng/mLと測定され、MMR群に比べて有意に低値を示した(p<0.0001)。

 なお、両群間のイマチニブ投与量に有意差は認められず、効果判定までの投与期間にも群間の有意差はなかった。また、年齢、Sokal score、性差、インターフェロン投与歴などに関しても、群間有意差は認められなかった。

 以上のことから、イマチニブの血中濃度(トラフ値)が、重要なサロゲートマーカーの1つであると示唆された。そこで演者らは、効果の期待できるトラフ値をROC解析にて試算した。その結果、トラフ値が1002ng/mL以上であれば、感度77%・特異度71%で分子遺伝学的寛解を予測しうる可能性が示唆された。

 別途、演者らのCML患者85例における臨床検討によれば、トラフ値(中央値)はイマチニブ300mg/日投与下(7例)で813ng/mL、400mg/日投与下(57例)で1135ng/mL、600mg/日投与下(21例)では1709ng/mLに分布しており、用量依存的なトラフ値の上昇が確認された。よって、1002ng/mL以上のトラフ値を保つには、忍容性の範囲内でより高用量を用いることが大切ではないかと考えられた。

 以上検討結果より、以下の4つの場合について血中濃度測定を行うことを推奨している。

 (1) 十分な服薬コンプライアンスが得られていないことが疑われる場合。
 (2) 薬物相互作用による血中濃度への影響が疑われる場合。
 (3) イマチニブの治療効果が十分に得られない場合
 (4) 服薬量に比して重篤な副作用が診られる場合。