写真1 「バッドニュース」の伝え方の正式なトレーニングを訴えるHebert氏

 癌専門医であればだれしもが、患者に悪い知らせを伝えなければならない場面に遭遇しうる。しかし、伝え方の正式なトレーニングを取り上げている医学教育や研修プログラムはほとんどなく、医師個人の努力にゆだねられている実態が分かった。血液学あるいは腫瘍学の医学教育担当者らに対して行ったアンケート調査で明らかになったもので、米国Brown大学のHannah D Hebert氏(写真)らが6月5日、第43回米国臨床腫瘍学会で発表した。

 Hebert氏らは、米国の血液学あるいは腫瘍学の医学教育担当者124人を対象に、電子メールあるいは郵送によるアンケート調査を実施した。このうち回答を寄せたのは65人で、回収率は52%だった。回答者の背景は、81%は都市部の医療機関に所属し、96%は大学病院で3次医療センターだった。また、提供している医学教育あるいは研修プログラムの46%は、米国国立癌研究所(NCI)の指定を受けたものだった。

 調査では、患者に悪い知らせを伝えるためのトレーニングプログラムの有無、その必要性、さらに制度上のサポートなどについて尋ねた。

 正式なプログラムの有無については、あると回答したのは7.7%に留まり、90%以上で正式なトレーニングが受けられないことが分かった。それにもかかわらず、患者に悪い知らせを伝える能力を向上するために、正式なプログラム化が「とても重要」と考える人は33.8%あり、重要ではないとする人は皆無だった。

 回答者自身がこれまでの教育研修で、悪い知らせを伝えるためのトレーニングを受けたことがあるかどうか尋ねているが、80%は受けたことがないと回答した。つまり、自らの経験からしても、「正式なプログラム」が欠かせないと考える人が少なくないことが推察された。

 これらの結果を踏まえHebert氏らは、「正式なプログラム化を支援する制度が必須である」などと指摘した。