終末期に限定したケアと考えられがちな緩和ケアだが、最近は治癒を目指す治療をサポートする支持療法として早期から導入し、患者の病期、症状に応じてケアを選択していくという急性期緩和ケアの考え方が広がりつつある。ただし、進行癌患者に対する急性期緩和ケアは患者の苦痛軽減につながるにも関わらず、実際の開始時期は大幅に遅れているばかりか、さらに遅れる傾向が強まっていることが明らかになった。米国Anderson癌センターのBadi El Osta氏らが6月5日、第43回米国臨床腫瘍学会で発表した。

 Osta氏らは、現状を把握し課題を明らかにするために、Anderson癌センターにおける急性期緩和ケアのコンサルテーション開始から死亡までの日数を調べた。

 対象は、30カ月の間に急性期緩和ケアの開始していた患者2868人。患者背景や癌のタイプ、癌診断の日時、進行癌の診断時期、急性期緩和ケアのコンサルテーション開始、そして死亡などについて、それぞれの患者記録を振り返った。なお、進行癌は、局所的再発あるいは転移が認められた場合とした。

 患者背景は、女性が1404人(49%)、65歳未満が1791人 (62%) 、固形癌が2563人(89%)、白人が2004人(70%)などだった。

 急性期緩和ケアのコンサルテーション開始から死亡までの日数は40日(中央値、以下同)、進行癌の診断からコンサルテーション開始までは114日、進行癌の診断から死亡までは243日だった。急性期緩和ケアの導入時期は、予想以上に遅いことが分かった。

 また、急性期緩和ケアのコンサルテーション開始から死亡までの時間を詳しく分析すると、(1)固形癌は47日、悪性血液疾患は14日で、固形癌の方が有意に長い(p<0.0001)、(2)65歳未満の患者は44日、65歳以上は36日で65歳未満が長い(p=0.002)、(3)女性は45日で、男性の37日より有意に長い(p=0.004)、(4)白人の場合は40日、非白人が41日で両者に有意差はない、などが分かった。

 動向を把握するために、2003年から半年ごとに、急性期緩和ケアのコンサルテーション開始から死亡までの日数(中央値)をみたところ、それぞれ46日、56日、42日、41日、34日で、コンサルテーションの導入時期がずれ込む傾向が見られた。

 この間、コンサルテーションを受けた患者総数は、544人から654人へ20%増加していた。そこで、進行癌診断から死亡までの日数に対するコンサルテーション開始から死亡までの日数の比を求めると、2003年からの2年半で0.30から0.26まで有意(p=0.0004)に短くなっており、最近はむしろ遅れる傾向が強まっていることが判明した。

 演者らは、コンサルテーションの開始時期を可能な限り早めていくためには、「医療関係者、特に医師に対する急性期緩和ケアの教育が必要である」と強調した。