写真1 MA-17試験における死因を分析結果を報告したChapman氏

 閉経後乳癌術後補助療法として、タモキシフェン5年間投与後にレトロゾールをさらに数年間追加することの意義を検討したMA-17試験では、これまでに無病生存、無遠隔再発生存および事前に規定された層別解析によるリンパ節転移陽性群における全生存の解析が報告されている。今回MA-17試験における死因を分析した結果、乳癌以外の理由での死亡に関連する背景因子が明らかになった。カナダQueen's大学のJ.Chapman氏(写真)らが6月3日、第43回米国臨床腫瘍学会で発表した。

 癌治療の長期予後成績を検討する際、患者の年齢が高くなるにつれて、癌による死亡よりもその他の死因のリスクが高くなっていくと考えられる。そこで演者らは、タモキシフェン5年の治療終了後にレトロゾール5年間の治療を追加したExtended Adjuvant TherapyのMA-17試験の背景因子と死亡原因の関連を解析した。

 同試験の登録患者5187例のうち、GCP違反を除く5170例(レトロゾール群2583例、プラセボ群2587例)を解析対象とした。登録患者の年齢中央値は62.3歳、そのうち26%の患者が70歳以上だった。追跡期間の中央値は3.9年だった。

 解析の結果、追跡期間内において対象5187例中256例にて死亡が確認された。「乳癌による死亡(BC)」は39.8%(102/256例)であり、残りの60.1%(154/256例)は、乳癌以外の死因であった。内訳は、「その他の癌による死亡(OM)」が50例、「その他の疾患による死亡群(OC)」が100例、死因不明が4例であった。

 さらに、BC、OM、OCの死因を競合リスクとし、それに対して11種類の背景因子(治療、年齢、閉経状態、タモキシフェン治療の期間、前放射線療法、骨折、骨粗鬆症、心血管疾患、ホルモン受容体、リンパ節転移、前化学療法)がどのような影響を与えるかを検討した。

 その結果、死亡原因の違いに影響する背景因子として、心血管疾患および骨粗鬆症の2つが同定された。背景に心血管疾患のある患者では「その他の疾患による死亡」が多く(p=0.02)、骨粗鬆症のある患者では「その他の癌による死亡」が多かった(p=0.03)。

 70歳以上の患者では、死亡のリスクが有意に高く(p<0.001)、それは、上記3つの全ての原因すべてによるものであった。また、リンパ節転移のある患者も、死亡のリスクが有意に高く(p<0.001)、「乳癌による死亡」に関連していた。

 これらの結果から演者らは、「乳癌患者の治療の際には、乳癌以外の疾患にも十分注意を払い、それらの早期発見や適切な治療を行うことも、乳癌患者の生存をより改善するためには必要であろう」と考察した。