写真1 共同研究者であるセルメディシン社長の大野忠夫氏は、生存期間の長さを強調した

 脳腫瘍の1つである多型膠芽腫(GBM;Glioblastoma multiforme)に対する自己ワクチンの有用性が報告された。筑波大学臨床医学系教授の坪井康次氏らが6月4日、第43回米国臨床腫瘍学会で発表した。

 坪井氏らは、多型膠芽腫患者本人のホルマリン固定した腫瘍ワクチンを作成し、その安全性と有用性を確認するため、パイロット研究を実施した。

 試験は、12人の多型膠芽腫患者を対象に行った。再発が8例、初発4例だった。ワクチンは、ホルマリン固定、あるいはパラフィン固定した腫瘍組織と独自に開発したアジュバントを混合して作成した。

 ワクチン投与は、5‐部位の皮内接種方式で1週間ごとに3回実施し、その前後で延遅型アレルギー検査を行い、安全性に留意した。また、効果については、MIB-1、p53、MHCクラス1などの免疫組織化学的分析で評価した。

 その結果、局所的硬化や微熱が見られたものの、治療は耐えられるものだった。効果の面では、12人中、完全寛解が1例、部分寛解が2例に認められた。2例は変化がなく、残りの7例は病気の進行が見られた。

 今回の試験で得られた生存期間(中央値)は、 ワクチン投与開始から10.7カ月だった。ワクチンに反応した4人のうち3人だけに限ると、接種後20カ月だった。

 手術と放射線治療からなる標準的な治療では、治療開始からの全生存期間(中央値)は14.6カ月ほどであるが、さらに自己ワクチン治療を組み合わせると、これを24カ月まで伸ばすことができたという。

 演者らは、今回のパイロット研究で、自己ワクチンの安全性と有用性が確認できたとしており、さらに研究を重ねる意向だ。