写真1 肝薬物代謝酵素CYP2A6の遺伝子多型について発表した藤田健一氏

 CYP2A6遺伝子多型が、S-1の配合成分であるテガフールから5-FUへの変換に関与していること、さらに5-FUの体内での代謝はギメラシルの血中濃度によって決められることが確認された。埼玉医科大学臨床腫瘍科の藤田健一氏らが、第43回米国臨床腫瘍学会で発表した。これは、CYP2A6遺伝子多型が、S-1の有効性および忍容性の差異につながることを示唆した結果といえる。

 S-1は、5-FUの誘導体であるテガフール(FT)に、5-FU分解酵素を阻害するギメラシル(CDHP)とオテラシルカリウム(Oxo)が配合された経口の薬剤。

 S-1による治療を受けている転移・再発がん患者40人(平均61歳)を対象に、CYP2A6*4とCYP2A6*7、CYP2A6*9において、野生型(*1/*1)、1アレルの変異 (*1/*4、*1/*7、*1/*9)、両アレルの変異(*4/*4、*4/*7、*4/*9*、7*/*7、*7/*9、*9/*9) として分析した。

 この結果、テガフールの経口クリアランス(CL/F)値は、CYP2A6遺伝子多型との関連性が示され(ANOVA R2=50.1, P=0.0000787)、またCL/F は、CYP2A6野生型に比べ、アレルの変異が多いほど有意に低いこともわかった。

 さらに5-FUのAUC(血中濃度−時間曲線下面積)は、ギメラシルのAUCと相関していることから、体内での5-FUの薬物動態は、ギメラシルの作用に依るものであることが確認された。

【訂正】
 6/8に以下の点を訂正しました。
・今回の発表は、CYP2A6遺伝子多型と成分のギメラシル、特にギメラシルの作用に依るものであることを明らかにした点が重要でした。これを踏まえ、「5-FUの体内での代謝はギメラシルの血中濃度によって決められる」など新たな情報を追加しました。